2017年3月に坂本龍一が代表・監督を務める
東北ユースオーケストラが東京と福島で公演

 東日本大震災で被災した子どもたちでつくる東北ユースオーケストラが、マーラーの交響曲第一番「巨人」などのプログラムで、第二回定期演奏会を開催する。昨年の第一回公演と同じ東京オペラシティコンサートホールでの3/25の公演に加え、今年は翌3/26に福島県郡山市民文化センターでも公演する。

第1回演奏会は2016年3月に東京オペラシティ コンサートホールで行われた

 同オーケストラは、2013年9月から10月にかけて、宮城県松島町で開催された、東北と世界をつなぐ音楽祭「Lucerne Festival ARK NOVA 松島 2013」を機につくられた。 

 団員は東日本大震災の被災三県（岩手県・宮城県・福島県）を中心に、ふだんは異なる組織で演奏をしている小学生5年生から大学生4年生まで約100名が活動している。

 同オーケストラの代表・監督は坂本龍一。指揮者の栁澤寿男はコソボ紛争後、UNMIK国連コソボ暫定行政ミッション下でコソボフィルハーモニー交響楽団の首席指揮者やバルカン半島の民族共栄を願って設立されたバルカン室内管弦楽団の音楽監督を務め、旧ユーゴスラヴィアを中心に活躍する指揮者だ。坂本龍一、栁澤寿男と東京フィルハーモニー交響楽団が指導に当たっている。

 今回、3/25に東京オペラシティコンサートホール、翌26福島県郡山市民ホールで開催される演奏会の目玉はなんといってもマーラーの交響曲第一番だ。俗に「巨人」と呼ばれるマーラーの交響曲のなかで、若々しい楽想にあふれ、もっとも一般に演奏さる機会の多い親しみやすい曲だ。

 このほか、坂本龍一の代表作で、1988年の米アカデミー賞で、音楽を含む9部門を受賞したベルナルト・ベルトルッチ監督の映画「ラストエンペラー」のテーマ曲や、会津藩が舞台で、綾瀬はるか主演の2013年NHKの大河ドラマ「八重の桜」のテーマ曲、「大漁唄い込み」「南部よしゃれ」「相馬盆唄」など宮城、岩手、福島の民謡、さらには、坂本龍一が、沖縄の女性民謡グループ「うないぐみ」とコラボレーションした「弥勒世果報(みるくゆがふ)」など、世界の名曲から日本の民謡までバリエーション豊かなプログラムとなっている。

 うないぐみの中心メンバー古謝美佐子は沖縄を代表する民謡歌手でもある。

 坂本龍一自身がピアニストとしても参加するほか、吉永小百合もゲスト出演する。吉永は同オーケストラの趣旨に共感し、2016年に行われた第一回演奏会から被災した子ども達の詩の朗読などで共演している。

 第一回演奏会でも司会を務めたフリーアナウンサーの渡辺真理が今回も進行を担当する。

 オーケストラは東北の子供たちが、優れた音楽家による指導や演奏をはじめ、普段は会うことのないさまざまな人々との交流を通じて世界を知り、沢山の仲間たちとともに経験していく「成長の場」であると同時に、子どもたちの活力が、周囲の大人や地域全体、そして東北全体に活力を与え、あたらしい未来をつくりだすことを目指している。

2015年12月に福島県内で行われた練習時の集合写真

演奏会概要（http://tohoku-youth-orchestra.org/?_ga=1.58516842.1320076758.1484087604#liveinfo）

●出演
演奏：東北ユースオーケストラ
音楽監督・ピアノ：坂本龍一
指揮：栁澤寿男
朗読：吉永小百合
歌・三線：うないぐみ
司会：渡辺真理

●演奏予定曲
「ラストエンペラー」
「八重の桜 メインテーマ」
「Three TOHOKU Songs」（大漁唄い込み、南部よしゃれ、相馬盆唄）
「てぃんさぐぬ花」
「弥勒世果報(みるくゆがふ)」
「マーラー 交響曲第1番」など