Photo by Reiji Murai
NTTグループは、巨大組織再編と同時に「人事制度の大改革」を実行していた。改革の結果、年収や人事制度はどうなっているのか。特集『大NTT 巨大再編の賭け』の#7では、NTTグループの管理職で六つ、一般社員で六つある各グレードの年収に加え、専門性を追求するスペシャリスト枠の年収を初公開する。さらに、同社の人事制度改革の真実を明らかにする。取材の結果、管理職の各グレードの年収が、ジョブ型の人事制度を導入してから5年で最大15%程度アップしていることや、若手の抜てきにより、30代の部長級社員が十数人まで増えていることが判明した。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文、山本興陽)
「GAFA予備校」からの脱却に向けて
30歳で年収1000万円に到達、管理職は1割賃上げ
かつてのNTTグループの人事制度は、年功序列そのものだった。入社年次に応じて2~3年ごとに幅広い職務をローテーションしながら、課長、部長へと昇格する。原則として降格はない単線型の出世ルートだった。
NTTの人事制度を象徴する言葉が、社内エリート「最早組(さいそうぐみ)」だ。同期入社組で最も早く出世する社員のことで、30歳前後で主査、35歳前後で課長、40歳前後で担当部長へと昇格するが、一度コースから外れると挽回は難しい。一方、最早組であり続けても、役員候補になるのは早くても40代後半で、大胆な抜てき人事が生まれにくい仕組みだった。
こうした硬直的な人事制度が「官僚よりも官僚的」と評された社風を生み出す一因となった。これを放置すれば、AI(人工知能)をはじめとしたテクノロジーがビジネスを激変させる時代に適応する事業改革や、そのための人材の確保が難しくなることは自明だった。
グループの総務・人事・労務(総人労)部門などを歴任して2022年にNTT持ち株の社長に就いた島田明氏は、危機感を持って、NTTグループの近年の人事制度改革を主導してきた。
その改革の一つの帰結として10月に始動したのが、同グループ66社から適任者を見つけて、会社横断で直接、社員をスカウトすることで適材適所を実現する制度である。ポストと人材のマッチングにはAIも活用する。このスカウトによる人事異動の詳細は後ほど解説するが、いずれにしても一朝一夕にできる仕組みではない。同社が行ってきたグループ会社間のジョブグレードと給与水準の統一や、社員のスキルを見える化するデータベースの整備といった改革の積み重ねがあって初めて可能になったのだ。
次ページでは、NTTグループの人事制度改革の実態を明らかにしながら、社員のグレード別の年収を公開する。ダイヤモンド編集部ではこれまでもグレード別の年収を記事にしてきたが、管理職(ジョブグレード〈JG〉1~6)と一般社員(グレード〈G〉1~6)の各12階層の年収を示すのは初めてのことだ。さらに、それらの階層とは別に設けられた専門性を追求する三つのグレードの給与水準も初公開する。
NTTグループの給与水準は、米国の巨大IT企業より低いこともあって、優秀な社員が外資系に流出するケースが後を絶たず、「GAFA予備校」などとやゆされてきた。次ページでは、NTTがこのような状況を変えるため、年収アップや若手の抜てき、やりがい向上に取り組んでいる実態も明らかする。







