「女性が輝く先進企業表彰」において、北海道の企業として初めて表彰された北洋銀行。道内企業では他に先駆けて「女性行員活躍策」を策定するなど、女性活躍を積極的に推進してきた。女性管理職比率も平成28年に12.4%に増加、着実に成果を出している。

 北洋銀行の営業基盤である北海道は、全国を上回る速さで少子化、高齢化が進み、人口減少や地域経済の活力低下など、将来に向けた懸念が拡大している。その払拭にはあらゆる分野における女性の活躍が不可欠であり、活躍を支援する環境づくりが求められている。同行では平成12年に「女性行員活躍策」を策定、以降15年以上にわたり積極的に女性の活躍を推進してきた。

 北洋銀行の女性活躍推進には、三つの柱がある。①女性が活躍するためのキャリア開発の支援、②仕事と育児の両立支援、③行内の意識改革である。

キャリアデザイン研修などを通じて、女性行員の活躍を積極的に推進する

 このうちキャリア開発については、活躍策の策定以来、さまざまな研修を通して女性管理職の養成に取り組み、現在20人の女性が部長職・支店長職として活躍している。課長職以上の女性職員も173人に増え、次代の支店長候補として活躍が期待されている。

北洋銀行
石井純二 取締役頭取

 二つ目の両立支援では、企業内託児所の開設や育児休業制度などの充実に努め、平成19年に道内企業として初めて、次世代法に基づく子育てサポート企業の認定を受けた。

 三つ目の行内の意識改革では、平成21年に「女性活躍支援室」を設置、研修の実施やガイドの発刊などを通じて、女性だけでなく男性を含めた職員の意識改革に努めている。

 石井純二取締役頭取は、「女性活躍推進に取り組み始めた当初は、まだまだ女性は事務や補助業務に従事するという意識が強く、支店長を目指す女性職員はほとんどいませんでした。しかし平成12年以降、徐々にその意識は薄れ、今では管理職を目指す女性が増え、男性を含めた職場全体に“理解し支えあう組織風土”が醸成されていると思います」と語る。 

人材の喪失を防ぐため
「夫婦帯同転勤制度」を設置

 女性活躍推進の取り組みを開始して以来、同行では特に顧客の資産運用をアドバイスするコンサルティング部門やローン部門における個人表彰制度の表彰者は女性が占めており、今やこの分野における業績伸展のけん引役となっているという。

北洋銀行 人事部
粟野妃奈子 女性活躍支援室長

 「資産運用やローンの相談を希望するのは、年齢の高い方や主婦層が中心。女性行員はソフトできめ細やかな応対ができるため気軽に話がしやすく、お客さまは安心して相談して頂けます。また家計を預かることの多い女性と同じ目線で相談に乗れる点からも、リテール分野は女性が活躍できる分野だと思います」(北洋銀行人事部粟野妃奈子女性活躍支援室長)

 同行では、女性の継続就業を支援するワーク・ライフ・バランス関連制度の整備にも積極的だが、昨年は新制度として、行内夫婦が同一地域に異動できる「夫婦帯同転勤制度」を導入した。従来は、行員夫婦の一方が遠隔地に異動になると、同居を希望する女性職員の大半が退職して、キャリア・経験を積んだ優秀な人材を失っていた。この人材を生かすための新制度で、既に現在44組の夫婦がこの制度に登録しているという。

 今回の表彰を受けて石井頭取は、「地域金融機関として、今後も一層女性活躍推進に積極的に取り組み、北海道の活性化に貢献していきたい」と、決意を新たにしている。