「女性が輝く先進企業表彰」で内閣府特命担当大臣表彰を受賞した明治安田生命。中期経営計画に“ダイバーシティ・マネジメントの強化”を掲げ、女性が活躍できる職場づくりを推進。女性管理職候補者の計画的な育成を実施している。

 「目に見える商品や工場を持たない当社では、従業員一人一人が貴重な経営資源です。特に当社では従業員の約9割が女性であり、女性活躍推進は経営に直結する重要な要素です。女性がいきいきと輝きながら活躍することは、当社の持続的、安定的な成長につながるという考えから、2011年度から“ダイバーシティ・マネジメントの強化”を中期経営計画の重点実施事項の一つとして明記し、多様な人財が活躍できる職場づくりを推進しています」と語るのは、根岸秋男・代表執行役社長である。

明治安田生命
根岸秋男 代表執行役社長

 同社の特徴的な取り組みに、女性管理職候補者の計画的な育成がある。12年から意欲と能力のある女性職員を選定し、人事部で管理職候補(同社では「L-NEXT」と呼称)として登録、計画的かつ継続的に女性管理職を輩出する体系を整備した。登録者に対しては、目指すコースに応じたコース別集合研修や、関連する部署や他社での短期実践研修などを実施、キャリア開発支援を積極的に行っている。

  「この『L−NEXT』の仕組みは、一過性ではなく継続して女性を支援していくことに会社がコミットしている証明であり、思い入れが非常に強いものです」と根岸社長は語る。

 現在の女性管理職数は212人(17.9%)だが、この取り組みを通じて、20年4月までに管理職に占める女性の割合を30%程度にするという数値目標を掲げている。

キャリアアップへの意欲が高まり
業績にも貢献

女性管理職候補者向けの研修(ワークショップ)

 また女性活躍に加え、ワーク・ライフ・バランスも推進するため、全所属に「ワーク・ライフ・デザインプログラム」を導入。具体的には総労働時間の縮減や、年次有給休暇の取得、男性の育児休職取得など、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取り組み状況を得点化して評価するもので、その結果は所属長評価にも反映されているという。

 これらの取り組みによって社内の風土も変化してきた。意識調査では、女性のキャリアアップへの肯定的な回答が増え、女性ネットワークの活動や勉強会が自発的に展開されるようになり、女性のアイデアや意見が今まで以上に反映されるようになった。

社長を含む、全役員、全管理職が「イクボス宣言」をした

 女性の活躍は業績にも貢献する。例えば、14年6月に発売した主力商品「ベストスタイル」の販売プロモーション施策の考案・実施を担ったのは、個人保険営業分野に所属する女性を中心としたプロジェクトチーム。発売3カ月で約15万件以上の販売実績を残す大きな成果を上げた。また、資産運用分野でも、女性ネットワークメンバーによる銘柄選定などの提言に基づき、明治安田生命アセットマネジメントが運用する「明治安田女性活躍推進ファンド」での投資が実現した。

 「さまざまな部門の女性職員たちが自発的に立ち上がり、会社に新しい風を吹かせてくれている姿は非常に頼もしく、今後も多彩な企画や改革の中核を担う人財になってくれることを期待しています」と根岸社長。同社の女性活躍推進の取り組みは、着実な成果を上げている。