私はもともと、対円での米ドル下落は最終局面に近づいており、早ければ今年中にも大底入れとなって、米ドル高・円安基調への転換が起こると考えてきました。
しかし、最近の動きを受けて、それが前倒しになる可能性、つまり予想以上に早く米ドルが対円で大底入れとなることを考え始めています(「重大事件後に相場はどう動く? 「パニック安値」で歴史的な大底入れも…」参照)。
すでに米ドル高・円安基調への転換が始まっていることも考えられるでしょう。
基調転換のシグナルになってきた協調介入
そう考えるようになった理由の1つは、G7協調介入です。3月18日(金)に実現したG7協調介入は、実に2000年9月以来、10年半ぶりのものでした。
この10年半前のG7協調介入は、「資料1」のようにユーロ安阻止で行われたものでしたが、これを受けてまさにユーロは大底入れとなり、ユーロ安からユーロ高への基調転換となったのです。
ところで、今回のG7協調介入は、ユーロ安阻止ではなく、円高阻止を目的としたものでした。円高阻止のためのG7協調介入は1995年4月以来です。つまり、なんと16年ぶりになるものだったのです。
そんな16年前のG7円売り介入は、「資料2」のように、円高のピークアウト、対円での米ドル大底入れをもたらしました。
こんなふうに、近年のG7協調介入は、基調転換につながってきたのです。そうであれば、今回の円高阻止の協調介入は、対円での米ドル大底入れ、つまり米ドル安・円高から円安・米ドル高への基調転換につながる可能性があると言えるでしょう。
円高・米ドル安基調は
いつ終わってもおかしくない
「資料3」のように、そもそも円高・米ドル安基調は、3年程度で終わるのが普通で、長くても5年が目一杯というのが過去の経験則の教えるところです。
また、そんな円高・米ドル安基調での米ドル下落率は、平均35%、最大でも50%でした。
では、2007年6月の124円から続いてきた今回の円高・米ドル安基調はどうでしょうか?
これは、この3月に76円台まで米ドル安・円高となったことで、すでに3年9カ月、40%弱もの米ドル安・円高となっています。米ドル安・円高の継続期間、そして米ドル下落率ともに、過去の平均を大きく上回ってきました。
もちろん、まだ継続期間、米ドル下落率とも、過去最高には至っていないのですが、過去の平均を大きく上回ってきたということは、着実に終わりへ近づいていると言えるでしょう。別な言い方をすると、いつ終わってもおかしくない、そんな段階に入っているということです。
そして、そういった中で、先に見てきたように、基調転換のきっかけになってきたG7協調介入が今回も実現したわけです。
だから私は、米ドルの大底入れ、米ドル安・円高から米ドル高・円安への基調転換が、当初の私の予想より早く実現してもおかしくないと考え始めているのです。
ただし、仮に米ドルが大底入れして、米ドル安・円高から米ドル高・円安へ転換するとしても、あの協調介入だけで決着がついたかどうかはまだ微妙ではないでしょうか。