「禅」は坐禅を組んだり掃除をしたりするなど、身体で実践することを重視するため、言葉がわからない外国人であっても、問題なく体験できる(写真はイメージです)

要約者レビュー

『ビジネスZEN入門』
松山大耕
208ページ
講談社
840円(税別)

 アップルを創業したスティーブ・ジョブズや、著名なドキュメンタリー映画監督であるマイケル・ムーア。彼らが禅に多大な影響を受けていたことを知っているだろうか。例えばiPhoneをはじめとするアップル製品はシンプルで美しいデザインが評価されている。この成功要因の一つは余計なものをすべて削ぎ落とし、本質に向き合うという禅の教えを、ジョブズ氏が追求し続けたことだといえよう。

 本書『ビジネスZEN入門』では、世界の第一線で活躍する人たちが禅に惹かれる理由を解き明かし、「マインドフルネス」と禅との違いを浮き彫りにしていく。また、仏教のそもそもの成り立ち、日本のビジネスパーソンがグローバルに活躍する上で、仏教の中でもとりわけ禅の考え方を取り入れることが有用な理由などが、具体的なエピソードとともに紹介されている。読み進めるにつれて、「仏教はゲインではなくルーズである」、「禅では体験や実践が重視される」という根本的な考え方について理解を深められるうえに、これまでとは違った視点を得られるはずだ。

 著者の松山大耕氏は、京都の妙心寺退蔵院の副住職であると同時に、世界中を飛び回りさまざまな活動を行っている。世界の現状と人間の本質に向き合い続けている彼だからこその、独自のアドバイスが詰まった一冊だ。これからグローバルに活躍したいと考えている人は、世界へ飛び出す前に一歩足を止め、本書を通して禅の教えをもとに、自己と世界を見つめ直してみてはいかがだろうか。(山下 あすみ)

本書の要点

(1) 仏教、特に禅の教えは、何かを得ようとする「ゲイン」の発想ではなく、積み上げてきたものをあえて崩す「ルーズ」の発想を土台とする。
(2) 禅は「実践」を何よりも重視する。禅の教えが、スティーブ・ジョブズをはじめグローバルリーダーにも支持されているのは、「余計なものをそぎ落とし、本質と向き合う」という考え方が普遍的であることを示している。
(3) リーダーシップは、論理にとらわれずに、自分の信念に沿って行動する中で自然と醸成されるものである。