「国会への法案提出に向けて、ぎりぎりまで議論を重ねていきたい」。塩崎恭久厚生労働大臣はそう意気込むが、議論は空転するばかりだ。
受動喫煙防止法案の今国会での成立が厳しい情勢だ。本稿執筆の6月1日時点で、通常会期の18日まで既に3週間を切っているが、「原則屋内禁煙」を主張する厚生労働省と、例外措置を求める自民党の間で溝が埋まらず、議論は平行線をたどる。
特に隔たりがあるのが、飲食店の例外の扱いだ。自民党案では、20歳未満の店内立ち入り禁止などの対応をした上で、「喫煙」「分煙」などの表示を行えば、客席部分が100平方メートル以下の飲食店での喫煙が可能だ。しかし、厚労省側は、こうした表示義務のみで喫煙を可能とする案については、小規模店のみに限定した上で時限的な措置として扱い、施行から数年後に原則屋内禁煙としたい考えだ。
東京都では100平方メートル以下の飲食店が約9割にも上るという調査もあり、例外というにはあまりにも範囲が広い。その上、それを恒久措置とするのは「とてものめない案」(厚労省関係者)だという。