神宮大麻というお札の頒布で
神社に厳しい“ノルマ”

 ここまでは、神社界と政治の距離を見てきた。それでは、神社本庁のカネはどうなのであろうか。

「最近、頒布が減少しているぞ。式年遷宮を目指してとにかく増やせ!」

 今から5〜6年前のこと。全国各地の神社に対し、一斉にこんな “げき”が飛ばされた。発信源は神社本庁だ。

 神社本庁が増やせと命じていたのは「神宮大麻」の頒布数だ。神宮大麻とは、簡単に言えば、神社界のピラミッドの頂点に立つ伊勢神宮が配る「天照皇大神宮」と書かれた「お札」のこと。各家庭の神棚にまつり、日々、祈りを捧げれば、遠くからでもお伊勢さん(伊勢神宮)のご加護を授かることができるというものだ。

 この神宮大麻は、その大きさによって大・中・小とあるが、小で1体800円。全国の神社は、これを氏子などに販売し、最大の“収益源”としているのだ。

 神社本庁は、バブル時代、この神宮大麻の帆布数を「1000万体まで増やす」との目標を掲げ、全国の神社に厳しい“ノルマ”を課していたが、バブルの崩壊によりその数は減少の一途をたどっていた。

 しかし当時、20年に一度、社殿を新たに造営し、旧殿から神体を移す伊勢神宮の「式年遷宮」という神社界最大のイベントを控えており、神社本庁はその費用を賄う必要に迫られていた。そのため傘下の神社に対し、げきを飛ばしていたというわけだ。

 左図を見ていただきたい。これは、神宮大麻をめぐるカネの流れを簡単にまとめたものだ。

 まず、神社は氏子などに神宮大麻を“販売”。その“売り上げ”を、都道府県の「神社庁」に“上納”する。その後、各神社庁は神宮大麻の“発行元”である伊勢神宮に“上納”、伊勢神宮は半分程度を懐に入れた後、「本宗交付金」として神社本庁に渡すという形だ。2014年度の決算資料によれば、その金額は32億8450万円、神社本庁の歳入のじつに67.3%を占める。

 しかし、ここから神宮大麻をめぐるカネは不思議な流れをたどる。神社本庁に集められたカネは、数%上乗せされ(14年度決算書では34億7530万円)、都道府県神社庁、各神社へと戻されていくのだ。
 
 つまり、神社が販売した神宮大麻1の売り上げは、いったん、都道府県の神社庁→伊勢神宮→神社本庁と吸い上げられた後、再び神社へと戻されているわけだ。

 どうしてこんな面倒なことをするのか。

「税務当局から、神社が売り上げをそのまま手にすれば、神社は伊勢神宮の『代理店』に該当し、売り上げは手数料収入となって課税対象となると指摘された。そのため、いったん神社本庁に集め、交付金として神社に交付する形がとられるようになった」と神社本庁の関係者は解説する。