「暴力なしで教育はできない」
歪んだ価値観を母から学ぶ

ハラスメントを研究してきた安冨教授によれば、ガミガミ言う親は、毒親としては二流。一流の毒親ともなれば、何も語らずとも、一瞥するだけで子どもに言うことを聞かせることができるといいます Photo by Kazutoshi Sumitomo Hair&Makeup by Chise Fujioka

「あなたのためなのよ」

 子どもを怒鳴りつけた親は、決まり文句のようにこう言います。かくして子どもたちは、世界とはこんな理不尽で成り立っているのだということを学習し、それは確信に変わります。

 躾と称して暴力を振るう親たちは、二言目には、こう言い訳することでしょう。「わたしだって、やりたくてやっているのではない」と。さらに、幼い子どもは、親、特に母親を自分にとって絶対不可欠な存在だと思っています。その人を「悪く思う」なんてことはできません。

 従って、多くの子どもは「お母さんは正しい。悪いのは僕(私)なんだ」と思い込みます。こうして子どもの人格の中枢に、暴力が埋め込まれます。

「お母さんはボクを愛しているがゆえに、ボクのために泣く泣く暴力を振るうのだ」というストーリーを構築した子どもは、それを全力で守ろうとします。彼らが長じると「暴力は愛だ」という価値観を帯びた歪んだ大人となります。

 元自民党の豊田真由子議員による、秘書への暴言・暴力事件は記憶に新しいところですが、河村建夫・元官房長官は「あんな男の代議士いっぱいいる」と発言しました。あの録音を聞いても何とも思わないのです。自民党という社会は、「暴力は愛だ」という価値観の上に形成されているのではないでしょうか。