就活は本当に学業の敵なのか?大学が手放せない「就職実績99%」の甘い蜜写真はイメージです Photo:PIXTA

「就活のせいで学生が勉強に専念できない」。大学関係者から、こうした声が聞かれることは少なくない。だがその一方で、大学側は就職実績を重要なアピール材料として使い続けてきた歴史がある。就活は学業の敵でありながら、大学にとってブランディングの重要なツールでもある。就活事情に詳しい筆者が、大学のジレンマに迫る。※本稿は、働き方評論家の常見陽平『日本の就活――新卒一括採用は「悪」なのか』(岩波書店)の一部を抜粋・編集したものです。

就職の面倒までみる
日本の大学の独特な風習

 日本の就職活動の特徴として、大学が関与する割合が高いという点があげられる。

 やや古いデータではあるが、独立行政法人労働政策研究・研修機構による2001年の比較調査によると、日本において特徴的なのは、「大学の就職部や就職情報室を利用した」人の割合が高いことである。男性で57.5%、女性で66.7%がこの手段を用いており、欧州全体の男性で18.0%、女性で15.5%と比較すると、大きく上回っていることがわかる。

 もうひとつ、特徴的なのは「大学の先生に相談した」である。男性で23.3%、女性で22.5%であるのに対し、欧州全体の男性で10.0%、女性で7.1%である。在学中に就職活動を行い、選抜される日本ならではのことだろう。

 企業と大学の立場は対等な関係のようで、微妙な綱引き状態となる。企業にとって、採用ターゲットとなる大学か。大学にとって、学生を送り込みたい企業か。この力関係は存在する。

 企業の採用活動においては、ターゲット校の設定が行われる。これがいわゆる「学歴フィルター」として会社説明会の予約や面接などにおいて、大学名で選別する取り組みが話題となる。