子どもを支配し、一生にわたって苦しめる「毒親」。こうした感情の暴力で子どもを支配し、苦しめる「毒親」を持つことになったために、引きこもらざるを得ない生活が長引く人たちもいる。
親子間の紛争解決は、引きこもり状態にある本人や家族に限らず、家庭内の究極のテーマだ。
10月11日、宇都宮市内で開催された「ひきこもり大学KHJ全国キャラバンin栃木」では、2人の男女講師が、共に「心理学部」として、「親子間の紛争解決」を学科名に取り上げた。会場は、100人近い家族や本人、一般参加者の熱気に包まれた。
親は辛い時も“精神論”を強要
「誰にも助けてもらえない」
1人目の講師は、「たいち」さん(38歳)。
「物心ついたときから怖くて、何も動けなかった」と明かすたいちさん。
子どもの頃、学校で神経をものすごく使いまくった。友達から「絶交」などと言われると、親からも精神論を強要されるだけで、誰にも助けてもらえないような恐怖に覆われて、ずっと泣いていた。
その影響で、大学までは何とか入学したものの、傷つけられてきたときの悪いことが頭にあって自滅してしまう。大学中退後も、仕事をしようとすると、なかなか身体が反応できない。神経が集中できないくらい弱ってしまって、いまも仕事に就けずにいる。
フリースペースへ行って、同じような状況の人たちとなら話がしやすいことがわかり、いろんなことを話すうちに、だんだん心が落ち着いてきた。
このまま親と同居していると、いまの状態から抜け出せない。たいちさんは、カウンセラーの助けを借り、父親の「無理だ」という制止を振り切って、1人暮らしを始めた。
「いろんなことが見えてきて、感情的なケンカ状態に陥ってしまう両親に対しても、世の中の価値観の不安や心配に振り回されて言っている。僕が振り回されなきゃいいんだ、と考えるようになったら楽になりました」