日本人は一体いつまで
「濡れ衣の夏」を過ごすのか

「島民の会」の皆さんは多くが高齢者だ。炭坑が閉鎖され、島が無人島になった1974(昭和49)年までそこに住んでいた。この方たちは、自らの体験と今も大事に保存している資料などに基づいて、旧島民の実生活を正確に発信し、誤解を解きたいと願っている。

「南ドイツ新聞」に彼らは次のように書き送った。端島では、「朝鮮人も日本国民として」「家族連れも単身者も同じコミュニティで仲良く暮していた」、「朝鮮の女性たちはチマチョゴリを着て、楽しく民族舞踊を踊った」、「朝鮮人の子どもも日本人の子どもも一緒に机を並べ、学校生活を送った」、さらに「炭坑内に入るときは、日本人坑夫だけの組や、日本人と朝鮮人坑夫の混成組があった」、「中国人は石炭の積み出しなど坑外作業に従事していた」と。

そのうえで断言している。「旧島民の誰も反人道的な行為を見聞していない。端島に住んでいる日本人の婦人や子どもらに知られずにそのような反人道的行為をすることは、端島の狭さや居住環境等から見て絶対に不可能だ」―。

「南ドイツ新聞」が報じた内容のうち、(1)は事実と異なる。第一、出身民族にかかわらず、全員にきちんと賃金が払われていた。(2)は根拠のない出鱈目。(3)が事実なら日本人を含む当時の端島の全人口の4分の1が死亡したことになる。島では一人の死さえ皆で悼んだ。「強制労働者1000人以上の死」の根拠は示されず、(4)は実に悪質な虚構だ。

彼らは1カ月以内に訂正記事を掲載することを求めたが、現時点に至るまでまったく反応がない。

韓国映画「軍艦島」は大きな波紋を呼ぶだろう。日本にとってはまさに「濡れ衣の夏」「地獄の夏」になる。私たちは事実を示しつつ、果敢に闘い続けるしかない。その努力をやめた途端に、捏造された歴史が定着するからだ。外務省に闘う気はあるか。