「次の金融庁のターゲットは医療・介護分野向け融資だという。こうなると、いったいどこにカネを貸せというのか」。ある大手地方銀行の関係者は自嘲気味にそう語った。
今、銀行は新たな稼ぎ頭を探してさまよっている。日本銀行の金融緩和策によって超低金利の環境が続き、銀行の収益源である預金と貸出金の金利差が急激に縮小。中核事業である企業向け融資の収益性がジリ貧に陥っているからだ。
そんな中、銀行にとって収益穴埋め策の一つである医療・介護分野向け融資に対して、銀行の監督官庁である金融庁が警鐘を鳴らしたというのだ。
金融庁が銀行の新たな稼ぎ頭の開拓に対して横やりを入れるのは、この数年間で一度や二度ではない。最初の標的は、銀行が窓口で販売する生命保険や投資信託などの金融商品だった。次に目を向けたのがアパート・マンション向けローン。投資信託や外国債券などの有価証券の運用にも懸念を示し、最近はカードローンもやり玉に挙がっていた。そこに医療・介護分野向け融資も加わるというのだから、前出の大手地銀関係者が途方に暮れるのも無理はない。