アメリカ市民に“衝撃”をもたらした事件が、ちょうど先週末に起こった。10月14日、ハリウッドの大物映画プロデューサーだったハーヴェイ・ワインスタイン氏の性的スキャンダルが暴露され、映画芸術科学アカデミー(*)から追放されたニュースは、日本でもすでに多くの媒体で報道された。今週、SNSを通じてその余波が大きなうねりとなって、世界を駆け巡っている。(医療ジャーナリスト 福原麻希、取材協力・英語翻訳/西田匡吾)
ハリウッドの有名女優たちの
告白がSNSで全米に拡大
ワインスタイン氏の長年のセクシャルハラスメントやレイプに関する証言を次々と伝えたのはニューヨークタイムズ紙と、ニューヨーカー誌。ほぼ同時期だった。
ニューヨーカー誌では、1990年代から2015年までに、ワインスタイン氏から性的嫌がらせやレイプを受けたとする13人の女性からの証言が報道されている。記事では詳細が赤裸々に語られ、女優たちが「(仕事を盾にした権威によって)キャリアを失うのがとても怖かった」と告白している。
だが、スキャンダル爆弾は、これだけで終わらなかった。
15日日曜、アメリカでは、さらにSNS上に大きなムーブメントが起こった。日本でも2001年からNHKのBS2放送されたテレビドラマシリーズ「チャームド」に出演していた女優のアリッサ・ミラノがツイッターで、こんな投稿をしたからだ。
“If you've been sexually harassed or assaulted write 'me too' as a reply to this tweet,”(「もし、あなたが性的な嫌がらせを受けたり、暴行を受けたりしたことがあるなら、このツイートに『私も』と書いて返信して」)
数時間後、「悲しくつらい経験をしたことがある女性が、こんなに多くいたのか」と驚くほど、SNS上は「#me too(#Me Too)」(私も)の文字であふれかえった。ツイッターも、フェイスブックも。インスタグラムには写真も並んだ。
例えば、アメリカ人らは、こうツイートしている。
「2012年の選挙速報を祝った後、家までつけられて。医者の最初の質問は、“酔ってたの?”」
「2度目にレイプされたのは大学院最終年。報告なんてしなかったし、ケガは隠したし、次の日の朝は普通に学校へ行った」