アップルの提供する「Mobile Me」もクラウドの一種。画面を見ると、アイコンが雲の絵になっている。なんとも象徴的ではないか。 |
IT業界では定期的に色々な用語が流行して定着するが、廃れていくスピードが速い。業界全体でパラダイムシフトを歓迎する傾向が強く、誰もが「次」を求めているのだ。たとえば、ついこの前まで「Web2.0」という用語が流行っていたが、今ではやや古い感じがするから、面白いものだ。
当たり前だが、具体的なサービスや製品と絡んでいる言葉は定着しやすく、概念的な言葉は失われていくことが多い。
そんななか、これから最も耳にすることが多くなるであろう用語が「クラウドコンピューティング」、略して「クラウド」だ。単語の意味を直訳すると“雲”となる。
このクラウドコンピューティングの語源は、ネットワークの概念図を描くときに、「インターネット全体を表す図としてよく雲が使われたから」というのが定説となっている。それをグーグル社のエリック・シュミットCEOが唱え始めて、世間に広く知られるようになった。
実はクラウドという言葉には、さまざまな意味合いが含まれているのだが、一番わかりやすく考えると、「地上と雲」ということだろう。つまり、我々が普段使っているコンピュータが地上で、ネットワークの先にあるのが雲だ。
たとえば、今までは地上にあったデータが雲の上に移行する、つまりハードディスクに蓄積されていたデータがサーバー上に移行すると、何が変わるだろうか?
一番わかりやすいのは、「会社でも自宅でも同じ書類を利用できる」と言うことだ。さらに、こんな使い方でサーバーを意識せずに利用できるのがクラウドの世界だ。これは、オンラインストレージというサービスで、すでに利用が始まっている。ハードディスクがパソコンではなく、サーバー上にあって、インターネットを介してデータを使うわけだ。
マイクロソフトの「Office Live」では、エクセルやワードから、自分のパソコンのハードディスクにあるフォルダーと同じように、サーバー上にあるデータを開いたり、保存できる。
何も知らずに設定済みの環境で利用したら、利用者はサーバーを利用していることに気づかないだろう。人気を博している「Drop Box」は、オンライン上のデータとハードディスクのフォルダーを自動的に“同期”してくれる。