キュレーターである坂本龍一とこれまで幾多のコラボレーションを行なってきたアルヴァ・ノトことドイツのカールステン・ニコライ+Nilo、オーストリアのクリスチャン・フェネス、そして坂本龍一とは初顔合わせながらも両者ともに興味とリスペクトを持っていたルクセンブルグ出身のフランチェスコ・トリスターノの4組による、グレン・グールドの音楽の「リモデル/リワーク」のコンサート。

「リモデル/リワーク」とは、坂本龍一の言葉を借りると「グールドの音楽をディコントラクション(脱構築)するもの」。いわばリミックスと似た概念の行為だが、ミックスをしなおすわけではないので、リミックスとは言わずに「リモデル/リワーク」と呼んでいるとのこと。

 カールステン・ニコライ+Niloがエレクトロニクスとヴォイス、クリスチャン・フェネスがギター、坂本龍一とフランチェスコ・トリスターノがピアノとシンセサイザー、エレクトロニクス。

 4者がそれぞれ主役になって(他の3組は伴奏でそれを支える)グールドの音楽を「リモデル/リワーク」するコーナーが、やはり坂本龍一の言葉を借りると連歌のように続き、各アーティストの個性とグールドに対する解釈や愛が溶け合うタペストリーとなった。

 バックにはZakkubalan撮影の映像素材などを利用した高谷史郎による印象的な映像が投影されていく。

 ライヴの最後は4者によるセッション。クラシックのピアニストながらテクノのアーティストとしても知られるフランチェスコ・トリスターノが打ち込んだ骨太な4つ打ちのビートにカールステン・ニコライがエフェクトをかけ、クリスチャン・フェネスのギター、坂本龍一のキーボード、フランチェスコ・トリスターノのピアノが即効的な演奏を重ねていく。電子音楽、現代音楽、テクノ、クラシックといったジャンルを超越し、融合する演奏となった。

 たんなるクラシックの演奏家にとどまらず、さまざまな媒体を駆使するメディア・アーティストでもあったグレン・グールドを偲ぶにふさわしい内容だろう。