この点の共有や理解がなければ、プロジェクト、協賛企業、ジャマイカ連盟など関係者が不幸になる。

 今回の問題は、ここに集約されるような気がしてならない。

 繰り返すが、下町Pは、あくまでオリンピックを手段に、事業の拡大を目的とするものである。一方、ジャマイカ連盟の目的は、世界大会やオリンピックでの勝利だ。このすり合わせができていなかったとしたら、責任は双方にあると考えるのが公平だろう。

実際にソリの性能は劣っていたのか

 ソリそのものの品質や性能についてはどうだろうか。下町Pの見解は、ほぼすべて2月7日付け発表の「ジャマイカ連盟との交渉について」に書かれている。

 今回取材した情報と合わせると、ジャマイカ連盟が2017年の北米カップにBTCのソリで出場してから、契約があるにもかかわらず、連絡が途絶えぎみになった。平昌五輪では下町Pのソリを使わない前提で話が一方的に進んでいるというもの。結果として2016年から一緒に取り組んできた信頼関係が崩れたとの認識だ。損害賠償については、表明を行っただけで訴訟や請求を行ったわけではないとする。ソリの性能や品質については、ジャマイカ連盟が指定した技術者の評価もあり、BTCや他社のソリと遜色はないと自信を持っているという。

 一方で、下町Pはジャマイカチームの応援ツアーを予定通り実施するとしている。また、いまのところスポンサー企業からとくに連絡や問い合わせもないという。

ジャマイカ連盟がBTCを選んだ背景分析

 今回、ジャマイカ連盟には直接取材はできていない。BTCとの関係や経緯の詳細は不明だが、下町Pソリの不採用のきっかけとされる、2017年11月の北米カップの成績と12月のIBSFワールドカップの成績を見ると、その理由が見えてくる。

 この2つの試合で、北米カップは下町Pのソリ、ワールドカップは輸送トラブルで急きょ利用したBTCのソリだった。この2試合の結果を比較すると、トップとのタイム差が違う。ワールドカップ前の北米カップにおけるトップとのタイム差は1秒以上離れていた。しかし、ソリが変わったというワールドカップでは、トップとのタイム差が1秒以内に収まっている。