日本国内では熾烈な低価格競争を繰り広げている飲食店やサービス業が、海外に進出すると利幅が厚いビジネスモデルにチャレンジする傾向が最近よく見られる。
例えば、立ち食いそば店の「名代富士そば」は、国内では「かけそば」300円、「冷やしたぬきそば」390円、「天ぷらそば」410円(いずれも税込み)といった価格帯で勝負している。
ところが、シンガポールでは高価格帯のメニューでブランド構築を狙っている。サービス料・税込みの価格を最近の為替レートで円換算してみると、「たぬきそば」約1050円、「明太クリームそば」約1630円、「海鮮かたやきそば」約1770円、「桜えび天ぷらそば」約1870円だ。
定食店チェーンの「大戸屋ごはん処」は、米ニューヨークに現在3店舗を持つ。税込み価格を1ドル=110円換算で見てみると(カッコ内は東京)、「しまほっけ焼き定食」約3230円(965円)、「さば塩焼き定食」約2990円(849円)、「とんかつ(ロース)定食」約2870円(898円)、「鶏と野菜の黒酢あん定食」約2750円(861円)だ。
ニューヨークはチップを考慮していない価格だが、それでも東京の3~3.5倍になる。しかし、健康にいいと見なされる「日本食プレミアム」のためか、白人やアジア人(中国、台湾、韓国など)の客も含め、結構繁盛していた。
立ち食いステーキ店の「いきなり!ステーキ」もニューヨークで店舗数を増やしている。先日、マンハッタンで3店舗目となるタイムズスクエア店に行ってみた。ただし、立ち食い席は少なく、大半は椅子付きのカウンター席だ。
夜の時間帯にトップ・リブアイ・ステーキ(300グラム)、サラダ、ライス、グラスワインを注文すると4300円程度(税込み、チップなし)になる。東京でそれに相当する品目を注文すると、3000円程度だ。ニューヨークの方が大幅に高いが、マンハッタン内の他のステーキ専門店でワインを飲みながら食事をすれば、普通はそれよりはるかに高くなる。