日本の外食産業は、成長する中国市場に積極果敢に進出している半面、苦戦を強いられて撤退を余儀なくされる企業も少なくない。特に、日本の代表的な外食産業の業態であるファミレスはほとんど定着できず、まさに「死屍累々」の状態にある。そんな中、なぜか「サイゼリヤ」だけは成功を収めている。その理由とは。(ゼロイチ・フード・ラボCEO 藤岡久士)
「世界の工場」から「世界の市場」へと変貌を遂げ、人口13億8000万人を抱える巨大市場中国――。
そのポテンシャルと魅力はあるものの、厳しい中国市場で勝ち残ることが容易でないことは、既に皆の知るところとなっている。この市場に対し、近年、果敢にチャレンジしたのが、人口減少により国内市場がシュリンクしている外食産業企業である。
進出から十数年の月日が経ち、既に多くの企業が事業を軌道に乗せることができず撤退に追い込まれているが、中でも全く市場に切り込むことができなかったジャンルがある。
それがファミリーレストラン、「ファミレス」業態である。
日本では外食産業といえば、誰もが思い浮かべる代表的な業態だが、なぜ中国で「ファミレス」は市場を切り開くことができなかったのだろうか。
日本国内で低迷し中国市場に
進出したファミレスの歴史
「ファミレス」という言葉の語源をたどると、1970年「すかいらーく」の1号店創業にたどりつく。
一般的に、「ファミレス」とは、セントラルキッチン(一次加工工場)で、原材料を半加工することにより、バラエティに富んだメニューを、スピーディーかつ、リーズナブルに提供することを実現したレストランのことを指す。