首都「東京」の経済面での重要性は今後ますます高まることが予想される。日本自動車ターミナルはその中で、公共トラックターミナルとしての役割を維持しながら、高度化・多様化する物流ニーズへの対応も求められる。秋山社長に今後の事業戦略の方向性、再開発の青写真を聞いた。(聞き手/「カーゴニュース」編集長 西村旦)
――日本自動車ターミナルの基本的な役割について、どのように考えていますか。
秋山 特積トラックと呼ばれる国内物流の長距離幹線輸送を支えている事業者の方々に、しっかりとしたトラックターミナルとしての機能を提供することが第一です。当社は東京23区内、ちょうど環状7号線の外周部に4ヵ所のトラックターミナルを構えています。東京と地方をつなぐ入り口で、数多くの運送事業者に輸送拠点を提供すること、つまり東京と地方の経済と物流をリンクさせることに大きな存在意義があります。経済の中心地である東京と地方とをつなぐことは、東京だけにとどまらず全国的にも大きな意味を持っています。
――高い公共性も大きな特長です。
秋山 配送センター事業など新たな役割も増えていますが、当社の基本はあくまでトラックターミナル事業です。大きな流れで見ると、国内貨物輸送量が減少する中で、特積トラックの貨物量も漸減傾向にはあるものの、国内物流の根幹を担う重要な機能であることは、将来的にも揺らぐことはないでしょう。その機能を支えるトラックターミナルをきちんと運営していくことが、当社の公共性だと思っています。
――「災害に強い」ということも公共性の大事な要件になります。
秋山 当社は支援物資輸送拠点として、国から「民間物資拠点施設」に、東京都から「広域輸送基地」に指定されています。他方、当社のターミナル内に拠点を構えている運送事業者の多くは、全国物流ネットワーク協会を通じて都と輸送協定を結び、災害が起きた際には緊急物資の運搬を担います。つまり、当社が広域輸送基地となり、そこに入居されている運送事業者が物資を輸送するという役割分担になっているわけです。
支援物資輸送拠点としての役割を果たすためには、ハード・ソフトの両面から、しっかりとした事業継続性が担保されなければなりません。当社では4つのトラックターミナルすべてで、72時間連続稼働できる非常用自家発電設備を導入していますし、ダイナベースをはじめとする一部施設には免震構造を採用しています。全社的な防災訓練を定期的に実施するなどのソフト面での対応も充実させています。