――昨年、新たな事業コンセプトともいうべき「メトロポリタン・ロジスティクス」を打ち出されました。その中で4つの「アドバンテージ(強み)」を挙げています。
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秋山 大消費地に近く、アクセスに優れている「リードタイム・アドバンテージ」、労働力の確保に優れた立地である「レイバー・アドバンテージ」、共同輸配送の実現や陸・海・空の連携に有利な「キャリアリンク・アドバンテージ」、災害に強く24時間365日稼働可能な「コンティニュイティ・アドバンテージ」です。
当社の現状を冷静に分析しても、この4つのキーワードは“強み”だと捉えていますが、将来に向けてさらに高めていくことが事業の発展につながると考えています。
メトロポリタンとは文字通り“大都市”という意味ですが、今後さらに人口減少が進めば、相対的に大都市部に人口が集中していきます。なかでも東京は稠密な人口と経済活動が維持されるでしょう。つまり、20年、30年後を見通した時、これらの“強み”をこれまで以上に強化させていくことが大事になるわけです。この4つのキーワードはそのための手引きになります。
――創立50周年の記念事業として建設を進めてきた「ダイナベース」が今年7月に竣工します。マルチテナント型の高機能大型施設であり、これまでの施設とは違ったコンセプトを持っています。新たな挑戦であるとともに、“社運を賭けた”施設でもありますね。
秋山 1965年に国の特殊法人として誕生し、1985年に政府が保有株を放出したことで民営化しました。会社設立が第1期、民営化が第2期だとすれば、今回のダイナベースの竣工は第3期のスタートに当たります。
その中で、自社の営業活動だけでダイナベースが完売できたことは、大きな自信にもなりましたし、幸先の良いスタートとなりました。将来的な再開発計画を担保する財政的な基盤づくりにもつながりました。
実は、私が社長に就任した昨年6月時点では、ダイナベースは2階より上のテナントが決まっていませんでした。竣工までまだ1年ありましたが、仮に空きが出てしまうと、今後の再開発計画にも影響が出ます。結果、竣工前に完売できたことは素直に嬉しく思っています。
――ダイナベースでは、東邦ホールディングスが延床面積5万㎡超の大型物流センターを整備しますが、これはどのような点が評価されたと考えていますか。
秋山 売上高で1兆円を上回る製薬卸大手であり、災害時を含めた医薬品の安定供給に高い使命感を持たれている企業です。もっとも高く評価いただいたのが、「災害に強いトラックターミナル」という点でした。当社が弛まず続けてきたBCPの取り組みと、東邦HDが求めていた災害時の安定供給というコンセプトがピタリと一致しました。
ひとたび災害が発生すれば、もっとも必要となる物資は食料と医薬品です。当社が掲げている公共性という理念においても、これ以上ないパートナーであり、社会的にも意義のあるコラボレーションになると確信しています。