ちなみに、財務局採用の官僚は、「財務局キャリア」と呼ばれ、財務省本省採用のキャリア官僚よりも低い立場と見なされる。だいたい入省2~3年目の本省キャリアが、金融調査の見習いとして出向する。逆に財務局から本省に出向してくるキャリアは、本省を支える人材であるにもかかわらず、本省の指定職ポストに就くことはできないなど、明確な人事格差がそこにはあるのだ。そうした財務局の中で、男性はノンキャリア採用だった。

森友問題と自殺は
別問題とした官邸

 男性の死去の報は、8日には財務省本省に上がり、官邸にも伝わっている。

「省中枢の幹部は皆、顔面蒼白で走り回っていた。ある程度、事情を知っている中堅官僚は、『週明けの報告書の波紋がどこまで広がるか。省存亡の危機だ。上層部一新ということもあり得る』と沈痛な面持ちで語っていました。彼の自殺は痛ましいことですが、本省を揺るがせている問題とは別、という認識です。騒ぎ拡大の要因にはなりましたが…」と、若手官僚は言葉を選びながら言った。

 確かに、男性の自殺の真意は、財務省が直面している問題と比べれば、「全く関係ない」というのが本音であり、事実なのだろう。とはいえ、報告が総理官邸に上がった8日の晩、その場で今後の対応について協議がなされたことは想像に難くない。

 そして、佐川宣寿国税庁長官は、現場職員の自殺という最悪の事態を迎えて、ようやく自身の進退にけじめをつけることができたのだ。

 実は、朝日新聞の改ざん報道で、再び国会が空転する事態となった時、麻生財務相の強い意向があっても、「佐川を守り通すことはできない」という空気が、上層部の中では流れ始めていた。

 自民党関係者は、次のように打ち明ける。

「彼が自殺する前は、佐川さんを参考人招致した上で、国税庁長官を辞職してもらい、その代わりに野党と手打ちするという線を、官邸は探っていました」