2007年をピークに減少を続けてきた首都圏の私立中学受験者数は今年さらに減少、中学受験バブルはまさしく崩壊の状況にある。

 森上教育研究所の調査では、一都三県(東京、神奈川、千葉、埼玉)の2月1日の私立中学受験者数は3万7568人と、07年の4万3716人から5年で14%強もの減少で、対前年比でも3%減だ。

 08年のリーマンショック以降の景気低迷で、私立中学受験者数の減少は続いており、今年も受験者減に歯止めがかからなかった。

 しかも、この間に私立中学の募集定員は3万9721人から4万1688人と約5%も増えている。これは、私立中学受験ブームを受けての定員増や、中高一貫体制強化による付設高校の募集定員の縮小・廃止によるものだ。

 この結果、09年以降、一都三県の私立中学受験者数は募集定員を下回る状況が続いている。

 もちろん、これはあくまで2月1日という、首都圏の私立中学受験がピークを迎える日に限っての数字で、この日に前後して入学試験を行ったり、複数回受験が可能な学校もある。だが、首都圏の受験者の9割以上がこの日に受験する、いわば“本命受験”の日であり、受験トレンドが如実に示される日でもある。

 今年の私立中学受験の特徴は、絶大な人気を誇ってきた難関私立大学の付属、係属中学にも陰りが見えたことだ。例えば慶應普通部と慶應湘南藤沢中等部は対前年比で約15%減、同じく早稲田実業中等部も約14%減、早稲田高等学院中等部が約12%減と早慶クラスでさえ受験者を大きく減らしている。同様に法政、青山学院、明治の受験者も減っており、さらには麻布、武蔵などの難関人気校も受験者減となるなど、ブームの観があった私立中学受験は大きく変わりつつある。

「受験者総数は減っても、人気私大の系列校や難関校の受験者は減らない」と強気だった大手学習塾関係者も驚くほどだ。