「人」フォーカスが成果を生み出す

 一次資源、二次資源で戦うこと、それはあくまでも「持てる者」の戦い方だ。大半の自治体はまず自身が「持たざる者」であることを自覚しなくてはならない。資源のない日本が世界の中で存在感を発揮していったのと同様、「持たざる者」が戦っていくためには「人」の力が不可欠だ。

 地域資源としての「人」に注目すること、それは街のインフラをつくることに等しい。観光などによる外貨の獲得が期待できない以上、その街を起点にした仕事が生まれ、持続していくことができる仕組みをつくることが最大のミッションとなる。

 そんな街が取り組むことはいたってシンプルだ。自身の街に適した(1)産業のあり方を考え、(2)実行し、(3)その成果を発信する、という3つのステップで中長期的な試行と改善のサイクルに取り組むしかない。

 実際に「人」を中心にした街づくりの取り組みには、いくつかの方向性がある。

 たとえば、西粟倉村とNPO法人ETIC.が中心となり立ち上げたローカルベンチャー推進協議会は「移住起業家」を呼び込み、産業を育てていく取り組みだ。現在は岩手県釜石市や石川県七尾市など全国10自治体に広がっている。

 一方では、外から人や企業を呼び込むにあたって、既存の住民が求める「仕事」を分析・対策することで成果を上げている宮崎県日南市のような事例もある。

 また、民間発のまちづくり事例では、「フリーランス」が集まる町として注目を集めている千葉県富津市にある「コワーキングコミュニティまるも」や、愛媛県西予市で40年前に立ちあがった「無茶々園」なども興味深い事例だ。

 さらに大きいのが、そういった街では産業が育つだけではなく、成果を牽引する「人」そのものが、外部にとって「その街を訪れる理由」になることだ。

 この連載では、そのような「人」という三次資源を軸にした街づくりの現場を、「持たざる者」の戦い方におけるヒントとして紹介していく。戦略不在で作られた、誰も喜ぶことのないウェブサイトやバズ動画がますます地方を疲弊させる前に。