田中直紀氏と猫ひろし氏
立場は違えど「場違い」な2人

 民主党の参議院議員である田中直紀氏は、野田内閣の防衛大臣に任命された当初から、その任務への適性に対して疑問の声が多い。しかし、「まだ」と言っては失礼かも知れないが、辞任はしていない。

 先日も国会答弁において、官僚の助言に頼り切る様子が批判の的となり、自民党が参議院において田中氏に対する問責決議提出を準備しているとの報道があった。

 沖縄の米軍基地の問題は解決の方向性が見えず、得体の知れない隣国である北朝鮮が「人工衛星」と称するミサイル様の物体を打ち上げようとしており、また中東情勢も不穏な今日に、我が国に国防上の不測の事態が起こった場合の防衛大臣が田中氏であることは、国民にとってかなり気持ちの悪い状況だ。

 我が国は、昨年、危機管理に全く不向きな菅直人氏が首相を務めている間に、東日本大震災と福島第一原発の事故に見舞われた。田中氏が防衛大臣である間に、防衛的緊急事態が起こらないという保証はない。

 他方、お笑い芸人であり同時にマラソン・ランナーでもある猫ひろし氏(芸名)は、カンボジア国籍を取り、来るロンドン・オリンピックにおいて、カンボジア代表としてマラソン競技に参加することが内定した。

 しかし、かつて「参加することに意義がある」という言葉もあったオリンピックではあるが、猫氏のマラソン持ちタイムは、おそらく女子マラソンの優勝タイムにも大きく遅れるであろう2時間30分台のものであり、同氏がオリンピックで上位の成績を収める可能性は、極めて小さいと言わざるを得ない。

 失礼を顧みずに言わせてもらうと、田中直紀氏は防衛大臣として、猫ひろし氏はオリンピック競技に参加する選手として、共に「場違い」な存在である。