「クルマって何ですか?」→豊田章男トヨタ会長が返した「英語4文字」が深すぎたPhoto:JIJI

クルマは単なる「移動手段」だという若者がいた。これに対するトヨタの豊田章男氏の反応が面白い。自動運転が進歩していく今、これからのクルマの価値は変わるだろうか。突き詰めると、仕事そのものに対する大事なひとつの考え方が秘められている。(イトモス研究所所長 小倉健一)

「車は移動手段」と答えた若者に豊田章男氏は…

 最近、私は、シェアリングサービスを利用して色んなクルマに乗る機会が増えている。休日にゴルフ場へ向かう時や、平日に郊外の企業へ打ち合わせに行く時に、あえて普段とは違う車種を選んでいる。

 最初は単なる移動手段として一番安いクルマを近所で借りていた。だが次第にアプリを探し回って、意図的に全く毛色の違うクルマを選ぶようになった。マツダのオープンカー、トヨタのアルファード、そして無骨なジープ。乗るクルマを変えるだけで、見慣れた景色は驚くほど新鮮に映る。

 ルーフを開け放ち、直接風を肌に受けながら走る爽快感…目的地に到達するという物理的な結果は全く同じである。それなのに、選ぶ道具を変えるだけで、移動の時間は単なる隙間の時間から豊かな体験へと劇的に変化する。エンジンの音や車高の違いがもたらす視覚の変化は、日常に心地よい揺らぎを与えてくれる。

 自動車は人を遠くへ運ぶ便利な機械である。しかし、クルマを変えるだけで気分が高揚する事実を前にすると、クルマには単なる道具以上の何かが備わっていると感じざるを得ない。

 テレビ東京『カンブリア宮殿』の取材において、豊田章男氏とトヨタの社員育成を行う「トヨタ工業学園」の訓練生との間で交わされた対話がある。以下は番組内で放送されたやりとりである。

訓練生:もし、章男会長が実現可能か考えずに「夢の車」をつくるとしたらどんな車ですか?
豊田氏:ずっと乗っていて楽しい車。(あなたは)車の免許持ってる?
訓練生:まだです。
豊田氏:車って何だと思ってる?
訓練生:移動手段です
豊田氏:……もっと学ぼう(笑)。「移動手段」と言ったでしょ?英語で書くと「move」。「move」っていう意味には感動という意味がある。動くという意味もあるけど感動という意味もある。単に移動手段ではなく、そこに感動を与えたい。だから、もっと勉強しよう!
訓練生:はい。