議論の根幹が空っぽで
ちゃんちゃらおかしい

 今回の議論の中では「働き方改革」「人づくり革命」「生産性革命」なる言葉が頻繁に使われているが、私は、この3語が流布する現状を「ちゃんちゃらおかしい」と近著(『脱「三逆リーダー」』ダイヤモンド社、7月4日発売予定)の序文に書いた。

 そう思ったのは2つの理由からだ。

 まず第1に、「改革」「革命」などと、上っ面では威勢のいい言葉が躍っているが、その中身となると、いずれもが今までの延長上の発想に終始していることだ。

 これが、「改善」というのであれば話は分かる。「改善」と「改革」「革命」は似て非なるものだ。「良くする」と意味においては似ているが、肝心要の発想の原点は全く逆だ。前者が今までを肯定しているのに対して、後者は今までの否定に立脚している。政界はもとより、経済界も、ひょっとするとマスコミ界までもが、この違いを認識していないのではないか。

組織革新研究会キャンパスリーダー・藤田英夫藤田英夫(ふじた・ひでお)/組織革新研究会キャンパスリーダー。1933年、東京に生まれる。大中企業の「人と組織」の変革、「人間力」再生の研究と実践にあたっている。著作/『「状況」が人を動かす』(毎日新聞社)、『人を人として』(PHP研究所)、『人間力』(NTT出版)、『人間力をフリーズさせているものの正体』(シンポジオン) 、近刊:『脱「三逆リーダー」』(ダイヤモンド社、7月4日発売予定)、『「個全システム」によるミーティング革新』(同)。

 そして第2は、「働き方改革」「人づくり革命」「生産性革命」が指向するものは、別々に達成されるものではなく、同時進行されるべきものであり、しかもそれを実現する根幹は一つに尽きる。その根幹が、すっぽりと“空”になっていることである。

 その「根幹」とは、労働の「質」、詳しくは後述するが、筆者が主宰する、実践を通して、仕事力を向上させるための原体験をする「組織革新研究会(以下、組革研)」でいうところの「人・仕事関係」である。

 今、議論されている「働き方改革」の中身、そのほとんどは労働時間、それに評価と賃金だけではないか。それらも大事には違いないが、それにも増して主要とでもいうべき働き方の「質」の議論は全くもってゼロだ。「自律的」だとか「自己実現」だとかいった言葉も出てくるが、時間と賃金などの制度に処すれば、それが実現できるとでも思っているのだろうか。