秋山進(あきやま・すすむ)
プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。
秋山進(あきやま・すすむ) プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役

小柳 しかし、現在のマネジメント層は自分の手を使って大量のデータ処理の実務をした経験が乏しく、営業やクリエーティブで培った業務経験がマネジメントに活かしにくい世代です。部下の過重労働をやめさせ、スタックがあれば解消することが責務だと分かっていても、部下が出すデータの作成にどのくらい時間がかかるものなのか、手触りとしてわからないのが実情です。この、「自分の経験したことのないことについてマネジメントしなければならない」という状況は、広告業界に限らずすべての業種・業態で起こっているのではないかと思います。

秋山 データに関する業務が増え、管理職は経験がないが、それをマネジメントしなければならない、しかも、とにかく長時間労働をやめるために働き方を変えなくてはならない、という状況だということですね。

「不要な業務を単純カット」は
なぜ成功しなかったのか

小柳 改革は2016年11月から始まり、当初は「リエンジニアリング(BPR=Business Process Re-engineering)」を模索しました。今ある業務で不要なものを徹底的に整理し、削減し、一新するという方法です。

 しかし、われわれの業態は、自社が独自に製品を作って売っているのではない。ひとつの業務がさまざまな取引先や関係者と結びついて影響し合っているため、自分たちだけがすっきりして終わりというわけにはいかないのです。

 けっして旧来のやり方に固執しているわけでもなく、誰もが心から改革を望み、前向きに仕事のしかたを刷新しようと思っているのですが、自分たちは必要のない業務だと思って整理してしまったら、複雑な経路を経て、思わぬ遠いところに甚大な影響が及んだりする。まるでリフレクソロジーのように、ある箇所をいじると、一見そうは見えない箇所に関係がある、といった感じです。

 それで方針をBPRから転換し、「既存の業務は否定しない、全部リスペクトする」という方針に変えました。いまある「業務」はそのままに、それを構成する「工程」をスピードアップすることにしたのです。

秋山 10の仕事があり、そこから3をなくして7にするのではなく、全部の仕事を均一にではないにせよ、10のまま、3割ずつ効率化して7にするみたいなイメージですか。