“骨太の方針”では、国・地方の歳入が2014年4月の消費増税や景気回復の継続に伴い増加したことなどにより、国・地方の基礎的財政収支(プライマリー・バランス)は現在の安倍政権となった2012年度の▲5.5%から、2018年度には▲2.9%と赤字幅が縮小する見込みが示されました。

 しかし、経済・財政再生計画の策定当初の見込みと比べると税収の伸びが当初想定よりも緩やかだったことや、消費税率の8%から10%への引き上げ延期、補正予算の影響によりプライマリー・バランスの改善は遅れたことなどから、プライマリー・バランスの黒字化は2020年度の目標達成が困難と判断され、2025年度に先送りされました。

 さらに、中長期的に見て、人口減少や少子高齢化は、経済再生と財政健全化の両面での制約要因として指摘されています。いずれも、今後の日本の経済成長において重要なキーワードです。政府は、女性活躍の推進や、高齢者雇用の促進、障害者雇用の促進、専門的・技術的な外国人材の受け入れなど、従来から掲げられている通りではありますが、多様な人材の活躍を推進するとしています。

“人生100年時代”は、2017年の新語・流行語大賞にノミネートされた言葉です。確かに、還暦を過ぎたり定年退職をしたりした、従来シニア層と言われてきた方々には、健康でハツラツとした方が増え、もはや65歳以上を一括りにして高齢者とは言えなくなりました。より生きがいを持って人生で輝き続けるために、「全ての世代の人々が希望に応じて意欲・能力を活かして活躍できるエイジフリー社会」の構築が求められるところです。

 一方で、高齢化社会が進むにつれて、社会保障費の増大は財政黒字化の大きな壁となっています。また、2016年の新語・流行語大賞を受賞した“保育園落ちた日本死ね”に見られる待機児童問題は、長く課題に上がりながらも完全な解消は難しい模様で、女性活躍推進の大きな壁となっています。

 今後の日本経済を展望すると、成長には大きな壁がいくつも立ちはだかっています。1月22日に始まった今国会は、働き方改革関連法案やIR実施法案など重要法案が未だ成立しておらず、6月20日までだった今国会の会期は7月22日まで延長されました。ただ、イタリアと比較すれば日本の政治的状況は安定しています。日本の未来のために、実のある議論がより多くなされることが期待されます。

(三井住友アセットマネジメント 調査部 脇坂理恵)