今年は「景気好調、株式上昇」のはずだったが
皆さんこんにちは。三井住友アセットマネジメント調査部です。毎週土曜日に「ビジネスマン注目!来週の経済、ここがポイント」をお届けしています。
さて、今回は、今年の日本と世界の経済・金融市場を取り巻くポイントを整理します。
1月6日付の当コラムでは、「2018経済・金融予測!「戌笑う」の邪魔をするリスクは何か」と題し、堅調な相場が喧伝される戌年で、「経済好調、株式上昇」との見方が多い中、見落としているリスクはないのかをチェックしていきました。例えば、国債市場や社債などのクレジット市場の「行き過ぎ」が観察される中での世界の主要中央銀行の金融政策の正常化、日欧でのインフレのリスク、地政学リスク等です。
世界の金融市場は年初こそ堅調でしたが、その後は米国長期金利の上昇、米国発の貿易摩擦の高まり、それらを嫌気した株式市場の調整や新興国市場からの資金流出と、波乱含みの展開となっています。また、経済も、日本の1-3月期実質GDPが前期比で9四半期ぶりにマイナス成長になった他、米欧でも景気の減速が見られました。
では、今後の景気や金融市場はどのように推移すると見込まれるのでしょうか。以下では、今後の景経済見通し、米長期金利の上昇、原油価格の上昇、米中貿易摩擦、新興国市場の変調について、見通しをまとめたいと思います。
1.今後の経済見通し
まず、世界的に観測された今年1-3月期の景気鈍化ですが、一時的なものと見られます。例えば、スマートフォンやビットコイン等の仮想通貨に関連した一部のIT業界の需要・生産の盛り上がりが一服した事や、米国のハリケーン被害からの復興需要が昨年中に一巡したことがあげられます。また、多くの先進国が今年の冬に天候不順に見舞われ、寒く、雪が多かったことも、一時的な景気鈍化の原因と指摘できます。ドイツでは賃上げを巡って一部の業種で2月にストライキが行われ、生産を押さえる要因になりましたが、これも一時的なものと言っていいでしょう。
4-6月期以降はこれらの一時的な要因が終わる他、米国を中心に財政政策もプラスに作用し始める見通しであり、世界景気は回復に向かう可能性が高いと見られます。