問題1:仲卸業者の店舗スペースが使い物にならない

豊洲新市場
写真1(市場関係者提供)

 仲卸業者の1店舗当たりのスペースが狭すぎる、との声は、2年前からさまざまなメディアで盛んに指摘されてきた。築地では1コマ当たりの間口が1.8メートルだったが、豊洲は1.5メートル。この30センチメートルの違いが大きいのだが、2年たった今も、事態は何ら変わっていない。

 写真(1)をご覧いただきたい。豊洲新市場の6街区(仲卸売場棟)内部で、すでに業務用の冷蔵庫などが運び込まれた仲卸の店舗スペースだ。壁と冷蔵庫の隙間はわずか30センチメートル程度。人1人が横歩きでようやく通り抜けられるほどで、これでは冷蔵庫の扉を開けることもままならないだろう。

 ちなみに他の店舗スペースを見ると、これらの機材が運び込まれた店舗の方が少なく、他は大抵、がらんとしている。あと3ヵ月後に市場の業務が始まるとは思えない光景だ。

豊洲新市場
写真2(市場関係者提供)

 では足元に目を向けてみよう。写真(2)のように、豊洲新市場の床はほとんど平らだ。当然のことだが、仲卸業者は商品の海産物を加工、調理して店頭に並べる。その際、魚の身や内臓、血液などが大量に床に落ちる。冷凍マグロの身を専用ののこぎりで切れば、粉末状の魚肉が飛び散る。

 築地では、床に大量の水を流して、日々これらを洗浄している。店舗スペースの床が、中央から両端の通路に向かってなだらかに傾斜しているため、落ちた魚肉などは水と共にスムーズに通路脇の排水溝に流れ落ちる。築地の仲卸の店舗を訪れた経験のある読者ならお分かりのように、店舗では夏場でも海産物の腐敗臭を感じることがないのは、こうした機能によるものなのだ。

写真3(市場関係者提供)

 翻って豊洲新市場は、床が平らであるばかりか、排水溝の底があまりに浅い(写真3)。「これでは氷や、活エビなどの箱に入れるおがくずを流すと、すぐに詰まってしまう」(市場関係者)。さらに、鉄製のふたもネジで固定されており、詰まったものを取り除くのは難しそうだ。

 こうした構造からか、現在の都の対応も不可思議なものとなっている。

 小池知事就任後に設置された都の市場問題プロジェクトチームの元メンバーで、現在は仲卸業者からの依頼を受けて、都の造作相談室とやり取りをしている一級建築士の森山高至氏は「都の担当者からは、床に大量の水を流してはいけない、モップで掃除するためにちょろちょろと流すのならよいと言われた」と話す。

 だが、魚肉には脂分も含まれており、衛生管理のためにも洗浄は不可欠だ。ましてや500もの仲卸業者がひしめき、毎日大量の海産物を調理・販売する場所で、水洗いもままならないとは、衛生管理上あまりに非現実的だ。