築地市場からの移転まであと半年を切った豊洲市場。小池百合子・東京都知事の最側近である小島敏郎氏は、安全のため必要とされる地下水位の管理を「絶対にできない」と断言。都は局所的に強力なポンプを使って“追い風参考記録”的に水位を下げていることを初めて認めた。「できない」ことを「できる」と言いくるめて、このまま移転に持ち込むつもりなのだろうか。(週刊ダイヤモンド編集部 岡田 悟)
豊洲市場の安全のため必要な
地下水位管理は「絶対にできない」
「豊洲市場の地下水位をA.P.+1.8mで管理することは、絶対にできない」――。小池百合子・東京都知事の環境大臣時代からの最側近で、知事就任後は都特別顧問として築地市場移転問題を切り回し、現在は都議会会派「都民ファーストの会」事務総長を務める小島敏郎・青山学院大学教授は、周囲にこう語っている。
「A.P.」とは東京湾の海抜の水面を示す。「+1.8m」は、海抜より1.8メートル高い水位であることを意味する。
有害物質が残る土壌の上に立つ豊洲市場の食の安全・安心を確保するため、小池知事に再招集された「豊洲市場における土壌汚染対策等に関する専門家会議」は、2017年11月にまとめた報告書の中で、土壌の有害物質が、上昇する地下水と共に漏出するのを防ぐため「地下水管理システムの機能強化を図り、早期に目標管理水位(A.P.+1.8m)まで地下水位を低下させるとともに、地下水位上昇時の揚水機能を強化する必要がある」と指摘した。