かつて「湾岸戦争」とも呼ばれた、東京都の湾岸3区(中央、港、江東)のタワマン建設。たった15年ほどで激変した街並みを、国勢調査データを中心に読み解いていこう。(ノンフィクションライター 和泉虎太郎)
全国のタワマン住民の2割は
中央、港、江東の3区に集結
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東京都区部に17万人、東京湾岸の3区に9万人。これは高層マンション(本稿では以降、タワーマンション、略してタワマンと表記する)の15階以上に住んでいる住民の数だ。10年間で2倍以上に増えているという。
なんとかと煙は高いところに上るものだ、などと揶揄するのは貧乏人のひがみ根性に他ならないが、東京の臨海地帯に立ち並ぶタワーマンションには小金持ちから富裕層まで、多くの新住民が押しかけた結果、指折りの人口急増地帯となっている。さらには投資マネーも流れ込み、不動産価格はバブルの様相。たった15年で街並みは一変した。国勢調査のデータから、この変化を読み解いていこう。
国勢調査では居住する階数に関する項目がある。2005年調査から15階以上(それまでは11階以上までだった)の項目が登場した。本稿ではこのデータを利用して、タワマン住民を15階以上の居住者と定義して、その素顔を見ていくことにする。
タワマン住民が多い区は下の表にあるように、中央区、港区、江東区。この3区で9万3621人となり、これは23区全体のタワマン住民の54.7%、さらには全国のタワマン住民の20.9%にあたる。05年は3万1669人だったので、この3区だけで10年で約6万人のタワマン住民が生まれたことになる。
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