問題3:「コールドチェーン」構想は崩壊

 築地市場は、カラスやネズミが出入りしていて、不衛生だといわれる。確かにネズミが棲みついており、野鳥もいるが、都の職員は日々、抜き打ちで業者の衛生管理を検査しており、基準を満たしていない場合は厳しく処分される。

 それはさておき、都は豊洲新市場を整備するにあたり、外部から運ばれた海産物を、搬入から取引、そして出荷まで一定の温度に保たれた閉鎖空間の中で一気通貫で行う「コールドチェーン」を実現できるとアピールしていた。

 だがそれは、10月の開場を前に断念した。

写真7(市場関係者提供)

 例えば写真(7)の左奥に見える四角形のシャッターは、トラックの荷台の後ろ側の扉を密着させ、外気に触れることなく荷物を運び出すことを当初は想定していたのだろう。非常に短いスパンでいくつものシャッターが並んでいる。

 ところが現在築地では、速やかに複数の海産物を運び出すため、荷台の後ろではなく両横の扉を上にはね上げて開ける「ウイング型」のトラックが多い。

 しかも写真(7)のように、シャッター前のトラックの停車スペース(シャッターから右側の道路まで)は約9メートルと、縦にトラック1台分しかない。トラックがバックで停車するためには道路にはみ出して切り返しをするしかなく、トラックが集中すれば、渋滞はまず避けられない。荷物の積み下ろしを荷台の後ろ側からだけに限定するのは、非現実的だ。

写真8(市場関係者提供)

 こうした実情に基づく業者側からの要望を受けて、都は結局、トラックを後ろ向きに停車させた状態で、ウイング型の横の扉を開き、荷物を積み出すことは認めた。

 だがそうなると、外気から密閉できないばかりか、積み下ろしの時間帯はシャッターがほぼ開けっ放しになる。しかもこの場所は、屋根はあるが壁がないので屋外と直接つながっており、向かいのトラックの待機スペースには野生のハトなどが飛来する(写真8)。

 荷物の積み降ろしの際、建物内に野鳥やネズミ、昆虫が入り込む余地がないのかどうか。都新市場整備部の市沢拓也物流調整担当課長は、本誌の取材に「エアカーテンは作動させるが効果が不明なので、やってみないとわからない」と述べるなど、すでにあきらめの境地だ。