平成に入ってから最悪の豪雨災害──。痛ましい犠牲を伴った西日本豪雨は、あらためて減災対策の重要性を示したといえる。国難災害への備えを怠れば、「人災」の側面が出てきてしまうだろう。(「週刊ダイヤモンド」編集部 西日本豪雨取材班)
弱り目に祟り目のマツダ
今回の西日本豪雨の特徴は、河川の氾濫や土砂崩れなどの甚大な被害を受けたエリアが、九州から中部地方にかけて広範囲に分散していることだ。激甚災害が、複数の府県をまたいで同時多発的に起こったために、救助・復旧作業に遅れが生じた面は否めない。
大手損保社員によれば、「3メガ損保グループで保険金支払額は1000億円を超える」。水害を主とした自然災害で、全国に被害が及ぶ台風並みの金額に達するのは珍しいという。
また、直接は被災していない地域・企業でも、道路・鉄道など交通インフラの機能不全が原因となって、生活や経済活動を阻まれるケースもあらわになっている。
その影響をまともに受けているのがマツダだ。中国地方には、マツダと三菱自動車の主力工場があり、付近には自動車部品メーカーが集積している。