確かに森田さんは、1度目と2度目の会社は5年で転職、現在の会社は4年目だ。今は転職の意思はまったくないそうだが、もし次にまた未経験の業種に転職でもしたら、ますます「マイルド貧困」の泥沼から抜け出すことは難しくなる。

 昨今、「働き方改革」が声高に叫ばれ、「副業」も認められる時代になった。企業側も社員の一生の面倒を見ることが難しくなったり、大企業といえども経営破綻に追い込まれたりすることだってある。そういう意味で、定年まで一つの会社に勤め上げるだけがキャリアではなく、人材の流動化は社会構造上、避けがたい状況だ。

 とはいえ、22歳で広告代理店、27歳で不動産仲介業者、32歳でビルメンテナンス会社と転職を繰り返した森田さんのように、勤続年数が短くキャリアが断絶した転職を繰り返してしまうと、キャリアアップどころか収入増にもつながらず、「マイルド貧困」に陥ってしまう。そういう意味では、社会的な構造が「転職型マイルド貧困」を生み出しているとも言えるのだ。

「今は建物の管理・保守の仕事がメーンですが、今後は営業もやって、管理・保守を請け負うビルの新規開拓もしたいと思っています。不動産仲介業のとき、たまに地主のおじいちゃんのところに顔を出して挨拶をしに行って、その関係がきっかけで、その方が所有する物件の仲介を任せてもらったことがありました。そういう意味で、広告代理店や不動産仲介業での営業経験は、今の会社でもきっと生かせるはずだと思います」

 そう仕事への意気込みを語る森田さんだが、果たして明るい未来は待っているのだろうか。