紙の本ソックリの手触りだけど、電子書籍――。そんな画期的な商品が人気を呼んでいる。電子書籍にありがちな線のにじみをなくすなど、徹底的に画質にもこだわっている。

手触りは紙そのもの!
驚きの電子漫画本が発売

紙のような手触りの電子漫画見開きで漫画を表示する、今までにない斬新な電子本。画質は鮮明で、紙の本と同様に、線画のにじみがない。見開きで読むことで、昔のように漫画の世界に没入できる ©北条司 / NSP 1985, 版権許諾証 AG-708

 外装も手触りも、紙の漫画本そのもの。しかし、本を開くと自動的に画面のスイッチが入り、片面ずつ両側に配置された7.8インチの2枚の電子ペーパーに、漫画が見開き状態で表示される。本体左下にあるボタンを押すと、次の見開きに切り替わり、まるで紙をめくるように読み進めることができる。

 これこそまさに、ひと昔前に思い描いた未来の漫画本の姿ではないか――。ユーザーからそんな声も聞こえてきそうだ。この従来の紙の本とデジタルの技術を融合させたハイブリッドな電子本が、技術ベンチャーのプログレス・テクノロジーズ(東京都江東区)が開発し、7月14日から蔦屋書店で予約販売を開始した「全巻一冊」シリーズだ(本体の価格は3万5000円、以下すべて価格は税別)。

「全巻一冊」の名の通り、往年の名作の全巻がコンテンツカセット(SDカード)1枚に収録され、電子本の本体内部のカードスロットに挿入して読むことができる。発売当初のタイトルは、「北斗の拳」(1万5300円)、「沈黙の艦隊 / ジパング」(3万7500円)、「シティーハンター」(1万9700円)、「ミナミの帝王」(1万円)の4作品で、8月には新たに「NARUTO-ナルト-」(2万7390円)と「銀牙伝説WEED ウィード&オリオン」(1万円)も加えられた。今後も毎月1作品程度が追加されていく予定だ。

本体内上部に設けられたカードスロットに、全巻が収録されたSDカードを挿入する方式。バッテリーは単4乾電池4本だ

 そもそも、この奇想天外な電子本の開発を思い立ったのは、現行の電子書籍端末やスマートフォンを使って、「1つの画面」で漫画を読むスタイルへの疑問からだった。

「電子書籍端末や普段使いのスマホに、いつ、どこにいてもダウンロードして楽しめるため、入手性や効率性は格段に高まった。しかし、便利さを追求しすぎたばかりに、昔の紙の本が持っていた良質な読書体験が損なわれ、それに拒否反応を起こしているユーザーも多いはず」と、プログレス・テクノロジーズの開発責任者である小西享氏は考えた。