構想・執筆に2年。広島の人気ラジオ『エフエムふくやま』でも、「ページをめくる手が止まらなかった」と紹介され、大手映像会社からも「どうしても映像化したい」というオファーが舞い込んできた、話題のエンターテイメント小説『マルチナ、永遠のAI。』。
その作者の大村あつし氏が、7月のとある暑い日にtwitterで『マルチナ、永遠のAI。』の写真とともに次のようなツィートを見つけた。
「新しい本を本屋さんに買いに行ったぞ~~
マルチナ、永遠のAI。今日から読み始めまする」
それは、10頭身ハーフモデルとして人気急上昇中のアンジェラ芽衣さん(21)が投稿したものであった。
モデルのみならず、タレントとしてテレビ出演もこなす多才なアンジェラ芽衣さんは、一体AIについてどのような考えを持っているのか。
大いに興味を持った我々は、すぐさま彼女の事務所にオファーを出し、このたびの対談が実現した。
『マルチナ、永遠のAI。』がきっかけで「AIオタク」を自称するまでになったアンジェラ芽衣さん。
「モデル」と「AI」という掛け算から生まれた化学反応のおかげで大いに盛り上がった対談の第2回を特別公開する。(構成・寺田庸二、写真・©️瑞麗)
『マルチナ、永遠のAI。』
アンジェラ芽衣の琴線に触れたシーンは
マルチナに「こころ」が芽生えた瞬間!?
IT書籍から小説まで幅広く手がける作家・ライター
エクセルのマクロ言語の解説書の売上部数は150万部を超えている。1997年に、その後国内最大規模となるマイクロソフト・オフィス製品のポータルサイト「moug」を一人で立ち上げる。2003年にはIT系資格試験の「VBAエキスパート」を中心メンバーとして創設。2007年に処女小説『エブリ リトル シング』が17万部のベストセラーとなり、中華圏や韓国での翻訳出版や2回の舞台化(2008年井上和香、2009年内山理名主演)。著書に、『マルチナ、永遠のAI。』、ベストセラーとなった『かんたんプログラミングExcel VBA』シリーズ(全16冊)など多数。静岡県富士市在住。
大村『マルチナ、永遠のAI。』の中で、特に印象に残っているシーンはありますか?
アンジェラ芽衣 物語の終盤に五條堀のこんなセリフがあるじゃないですか。
「なるほど。で、マルチナに命、こころを吹き込んだ神はショーマというわけか」
ここがとても印象に残りました。
大村 それは、なぜですか?
アンジェラ芽衣 人間の「こころ」のメカニズムもまだ解明されていないですよね。だったら、機械に「こころ」が芽生えても不思議なことではないと思うからです。
大村 ということは、アンジェラさんは「AIにはこころが芽生える」派なんですね。
アンジェラ芽衣 そうですね。実際、これだけ科学が進歩した現在に至っても「こころ」に関しては諸説あって、みなさん、おっしゃることが違いますよね。
それならば、知識を蓄えた人間、すなわち「知能を持った人間」に「嬉しさ」「悲しさ」「怒り」という感情が芽生えるなら、人工とはいえ「知能」であるAIにも「こころ」は芽生えると思っています。
大村 著者としては、一番力を入れたシーンを気にっていただいてとても嬉しいです。
実際は、「こころ」の正体はわからないわけですから、脳科学者なんかですと「脳内を飛び交っている単なる電気信号。人が死ねば心も消失する」という立場なのかもしれませんが、現実にはそれでは説明のつかない現象は山ほどあるわけで、一説には全世界の82%の人は「こころ」は単なる電気信号ではなく、「ソウル」「魂」だと思っているそうです。
アンジェラ芽衣 私も82%の人に同感です。「言霊」もあると思っていますし。
そう言えば、『マルチナ、永遠のAI。』の中で、ショーマの喜ぶ顔が見たいと思ったマルチナが、それがきっかけで無限ループに陥るシーンがあるじゃないですか。私は、あのときのマルチナにも「こころ」は芽生えていたと思います。
大村 いや、そこまで『マルチナ、永遠のAI。』を読み込んでくださっていて本当に作者冥利につきます。
アンジェラ芽衣 愛読書ですから(笑)。あと何回も読みたいと思っています。