報道によると、大地震が起きた9月6日午前3時の5時間後に当たる午前8時過ぎ、世耕大臣は記者に対して以下のような発言をしています。

「北海道電力は何時間以内に復旧できると明確にできていないが、経産省としては数時間以内に電力復旧のめどを立てるよう指示した」

世耕経産大臣の驚くべき発言
資エ庁の危機意識につく疑問符

 何がびっくりしたかというと、この発言は、電力会社の監督官庁である資エ庁が、ブラックアウトからの復旧がいかに大変かを理解していないことを示してしまっているからです。

 ブラックアウトの解消のためには、まず運転を停止した発電設備の被害状況の確認が必要です。さらに、大地震が起きたのだから送電設備の被害状況の確認も必要なはずです。それが終わってから、動かせる発電所から稼働させてジワジワと“同時同量”を維持しつつ、発電・送電量を増やしていきます。

 つまり、ブラックアウトの解消にはかなりの時間がかかるのです。だからこそ、たとえば2003年に米国北東部でブラックアウトが起きたときは、地域によって復旧には2日~1週間を要しました。また、同じ年にイタリア全土でもブラックアウトが起きましたが、このときも復旧には20時間かかっています。

 ちなみに、米国、イタリアとも、ブラックアウトの原因は樹木が送電線に接触したためであり、大地震とは比べようもない軽微なものです。それでもこれくらいの時間を要したのですから、今回の北海道のケースではもっと時間がかかるであろうことは、容易に想定できたはずです。

 世耕大臣がこの発言をした後、その日の午前中だけで北海道電力以外の3つの電力会社の知り合いから私に対して、「世耕大臣のあの発言はあり得ない。資エ庁の事務方は大丈夫か」という趣旨のメールが来たくらいです。

 実際、世耕大臣はその4時間後の正午の会見で、「十分な電力の復旧には少なくとも1週間以上はかかる」と最初の発言を訂正しています。ちなみに、1週間経過した9月12日には、苫東厚真発電所の全面復旧は11月以降になるとの見通しが示されました。