人生100年時代ヲどう生きるのか… 人生100年時代をどう生きるのか… Photo:PIXTA

「人生100年時代」に「平均の数字」は通用しない

「人生100年時代」という言葉が頻繁に流通している。特に、金融業界はこの言葉がお気に入りで、それは、「長い老後に、お金が足りなくなったら心配だ」という顧客側の不安を喚起するからだ。不安を持った客は勧誘しやすい(生命保険や健康食品の商売を想像するとご理解いただけるだろう)。

 確かに「老後に必要なお金」は心配な問題だ。そして、適切な対策を立てる必要がある。

 一般に流通しているが不適切な対策は、「平均」に答えを求めようとするものだ。「夫婦2人で余裕のある生活をするには月々○○万円…。そのために必要な額から年金額を差し引いて、65歳で××××万円」などといった数字を書き散らかす、自称マネーアドバイザーが少なくない。

 しかし、この「平均」はアンケートに基づく希望的な数字(生命保険の営業に好都合な数字!)なので、「これでは足りない」と不安に思う人が少なくないし、一方、所得も支出も多い人から見ると「本当にこれで足りるのか」と心配になる。

 まして、所得も資産も格差が大きく開いている時代なのだし、格差の拡大は今後も続くだろう。「老後に必要なお金」は、あくまでも「自分の数字」で計算しなければならない。「平均の数字」では誰も安心できない。