占い師の大城さまはこう語りました。

「努力というのは『準備』よ。
 チャンスは誰にでも来るけど、『いざ!』という時は精神論ではなく、常日頃にやっていることで結果が決まるの」

 この言葉を忘れないように書きとめた当時の手帳を今でも読み返すことがあります。
 何をしても結果が出ない時は苦しいものですが、それがチャンスを捉えるための準備期間だと思うと、努力の意味と価値が変わってくるように思えます。

 多くの億万長者と話す中で痛感したのは、誰でも初めは成功者ではなかったという点です。

 たくさんの苦労話、絶望的な状況から成功した話をたくさんうかがいましたが、どの方にも共通していたのは、特別なことは何もしておらず、コツコツと努力していたことでした。

 たとえば、足が不自由なのにもかかわらず、毎日ゴミを分別してドアの外に出しておいてくださっていた為替トレーダーのハキームさまは、ボクはパソコンの前に座っているお姿しかお見かけしていなかったので足が不自由でいらっしゃることにまったく気づきませんでした。
 それどころかボクときたら、
「パソコン1つで何もしないで大金が稼げていいな」
 なんて思っていたほどです。

 ですが、実際には、逐一変化する為替レート、市場の動き、情勢の変化などに対応しなければいけないお仕事で、それはそれは大変なことです。1泊数十万円というスイートルームに宿泊していても、自由な時間を満喫することもできないでしょうし、部屋から出られないため、ルームサービスで食事や夜食をオーダーせざるを得ないのです。
 ここに、ボクが大事にしていた精神論なんて関係ありませんでした。
「やるべきことをひたすらこなす」という当たり前のようで忘れていた努力の本質を教わりました。