次の数字を見ていただきたい。これは、あるマンションの大規模修繕工事で、設計監理者(コンサルタント会社)が作成した設計概算金額と、工事業者募集の公募に応じた工事会社9社による工事費の見積金額である。

 設計概算金額 9579万円(100)
 工事会社A社 9190万円(96)
 工事会社B社 9729万円(102)
 工事会社C社 9828万円(103)
 工事会社D社 9914万円(104)
 工事会社E社 9990万円(104)
 工事会社F社 1億24万円(105)
 工事会社G社 1億97万円(105)
 工事会社H社 1億162万円(106)
 工事会社I社 1億692万円(111)

 上記の( )内の数字は、設計概算金額を100とした場合の各見積金額の割合だが、この数字を見てどのように感じるだろうか?

 実はこの数字から、コンサルタント会社と工事会社との間に談合があることがわかるのだ。設計概算金額100に対して、工事会社各社の見積金額は96~111という範囲に収まっている。見積金額の差は約2割しかない。ここが判断のポイントだ。

 その昔、ゼネコンマンとして実際に談合を見ていた私のような人間には、これらの数字を見れば直感的に「おかしい」と思えるのだが、「同じ工事に対する見積もりなのに、1.5倍や2倍などと金額にばらつきが出るほうがおかしい」と思う人が少なくない。

 だが、冒頭で例に挙げた既製品であるペットボトルのお茶でさえ、およそ2倍の価格差があるのに対して、さまざまなリスクもある工事の見積もりで、“2~3割”以内に価格差が収まっていることのほうがむしろ不自然なのだ。

 普段はペットボトルを買うのにも、5円、10円という価格差を気にするはずなのに、大規模修繕工事という数千万円、数億円単位の大きな“買い物”をするときに、その価格差に疑問を感じないというのは、なんとも不思議なことではないか。