安倍首相の
中国公式訪問が終了
安倍晋三首相の日本首脳による約7年ぶりとなる中国公式訪問が終了した。
安倍首相は習近平国家主席、李克強首相、栗戦書全国人民代表大会常務委員会委員長と会談を重ね、日中平和友好条約発効40周年記念レセプションに参加した。
安倍首相・李克強両首脳がイノベーション、海上における捜索および救済、通貨スワップなど12本の国際約束・覚書の署名に立ち会った。
両首脳は日中第三国市場協力に関するフォーラムにも出席し、1000人以上の両国市場関係者と共に日中経済協力の新しい形を模索した。約40年に渡って続いた政府開発援助(ODA)はその歴史的使命を終えた。安倍首相は、この節目を背景に、日中関係を“新たな段階”へと押し上げるという主張をした。
安倍首相訪中の詳細や両国間での合意事項等に関しては日本国内でも広範に報道されているためこれ以上は触れない(参照:外務省https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/c_m1/cn/page4_004452.html)。
本稿では、安倍訪中を経た上での今後の情勢について考えてみたい。
この訪中を無駄にせず、日中関係・交流を安定的かつ健全に管理するという観点から、筆者が現段階で留意すべきだと考える問題を4点提起し、若干の検証作業を行いたい。
「新たな時代」という言葉に
習近平は内心ほくそ笑んだであろう
1つ目に、「第5の政治文書」についてである。日中両国政府はこれまで国交正常化を実現した1972年、平和友好条約を締結した1978年、その後1998年の江沢民訪日時、2008年の胡錦濤訪日時に政治文書に署名し、両国間系の礎としてきた。