一体改革法案が審議入り
いよいよ消費税率引き上げか

 社会保障と税の一体改革法案が、衆議院の特別委員会で審議入りする。徹底的に対決するのでもなければ、態度を明確にして議論に応じるでもない、野党第一党の自民党のメリハリのなさが気になるが、この問題は脇に置いておこう。

 民主党の政権に近い主流派が税率引き上げ推進にまわり、加えて、自民党も消費税率の引き上げ自体には反対していない。さすがに、今回は、税率引き上げが通る公算が大きいのではないか。

 小沢一郎氏が控訴されて「政治的座敷牢」に入り、反対派を束ねるリーダー人材がいなくなったこともあり、反対の論陣を張る手強い集団は見当たらない。ただ、与野党の議員たちは、いずれ来る選挙を前に世間の反応が気になるところではあろう。

 それにしても、前回の参院選で、菅直人前首相が消費税率引き上げに突然言及しなければ、民主党が参院でも多数を制して、消費税率引き上げの法案が簡単に通っていた可能性があったことを思うと、議論の余地がある分、現状のほうががまだマシなのかも知れない。

 世論調査では、消費税率引き上げに対する賛否は、やや反対が多いが、拮抗している。世論も、大きな障害とはなるまい。

 大手のメディアは、彼ら自身が消費税率引き上げに反対ではないし、日頃の情報提供元でもある政府には好意的な記事を書く。彼らは、「政局」の話に注目の重心をずらした記事を書きながら、消費税率の引き上げ自体を強力に批判することはないだろう。

それでも「今」の
税率引き上げに反対する理由

 筆者は、税目としての消費税に反対ではないし、税収に占める消費税の割合を上げることに賛成だ。また、将来、適切な時期に財政収支を改善することに対しても賛成だ。