自主防衛力の弱体化ばかりでなく
米国との信頼関係も損なっている

 韓国が、北朝鮮の脅威から守られてきたのは、米韓同盟が強固だったためだ。しかし、韓国は北朝鮮との融和に走って以降、米国との絆を弱めているため、「トランプ大統領を始め、米国政府の怒りを買っている」と韓国メディアは報じている。

 中でも深刻なのが、9月の南北首脳会談の際に締結された「軍事分野合意書」。米韓両軍が偵察機で監視を行ってきた軍事境界線の上空を「飛行禁止区域」に設定したことに加え、米韓軍事演習を制限する項目も含まれていた。これは米韓同盟を弱体化する合意である。しかも米国と十分な事前協議なしで行ったとして、『中央日報』はポンぺオ国務長官が韓国の康京和外相に激怒したと報じている。

 それだけではない。韓国は、北朝鮮から送られたマツタケに対する返礼とし、済州ミカン200トンを送った。これに関連し『中央日報』は、洪準杓前自由韓国党代表が「軍輸送機で送ったというミカン箱に、ミカンだけ入っていると信じる国民がどれだけいるか」と述べたことを紹介。ミカン箱に、米ドルや米が混ざっている可能性に言及した。

 記事では、過去の政権でもミカンを送付したことがあり、北朝鮮軍を始めとする権力機関や特権階級などに流れた。韓国内では、これは当時の金正日総書記が軍の忠誠を買う贈り物に使われたと指摘している。それを知りながら再度、北朝鮮にミカンを送ったということは、文大統領が金委員長に取り入ろうとしているのではないかとの疑念を紹介しているのだ。

 また、『中央日報』の社説は、欧州を歴訪していた文大統領がフランスのマクロン大統領に対し、非核化と引き換えに「制裁を緩和する必要がある」と促したが、マクロン大統領は「北朝鮮が実質的な意思を見せるまでは、国連制裁を継続しなければならない」と応じなかったことを紹介。北朝鮮の「非核化の意思」だけを信じるのは、「外交創造力に欠ける」と主張した。

 

 さらに同社説は、12月初めまでに東・西海線鉄道および道路連結のための着工式を開催することに合意したのは、韓国が先頭に立って国連の制裁を崩しているとの誤解を与えると指摘。文政権が北朝鮮への制裁緩和を訴え、過度の南北経済協力を急ぐなら「米国を中心とした国際社会の反発にぶつかるほかない」と断じている。

 同様に『朝鮮日報』も、文大統領はロシアのプーチン大統領や習近平国家主席など北朝鮮側に立つ国々と協力して、北朝鮮に対する制裁の緩和を訴えており、米韓同盟にひびが入りかねないと批判している。