“最低賃金引き上げ”の公約が守れず
韓国・文在寅大統領の支持率は急落
今年6月以降、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の支持率が急落している。その背景には、同氏が掲げてきた“最低賃金引き上げ”の公約が守れなかったことがあるようだ。
これまで同大統領は、朴前政権の政財界スキャンダルを巧みに使いつつ、高支持率を維持してきた。それに加えて、北朝鮮との融和促進や経済改革を通した最低賃金の引き上げによる格差是正などを主張してきた。
こうした同氏の政治的姿勢を見ると、文氏の政策はやや近視眼的な人気取り政策が多く、長期的な視野で安全保障や韓国社会の持続的な発展を目指した政策とは考えにくい。つまり、文氏はポピュリズム的な政治を進めているように見える。
ここへ来ての文氏の支持率急落は、“韓流ポピュリズム政治”の行き詰まりと言えそうだ。この状況が続けば、韓国世論は、文氏と対照的な主張を繰り広げて不満取り込みを狙う政治家の支持に回る可能性がある。
また、文政権が融和を進めてきた北朝鮮は、新たな大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発に取り組んでいると報じられている。
それは、文政権への支持率を低下させる外部要因の一つといえる。すでに韓国の企業経営者からも「文大統領の経済政策にはついていけない」との意見も出始めた。正式な大統領就任から約1年、文政権は今後、正念場を迎えることになりそうだ。