かつてある企業の救世主だと称賛された元最高経営責任者(CEO)が空港で逮捕された。起訴されずに何日も勾留され、弁護士の同席なしに検察官の尋問を受けている。不正な金融取引の疑いがあるとメディアがリーク情報を流すなか、会社でのポストも解任された。共産党が支配する中国の話だろうか。いや、資本主義の日本で起きたことだ。日産自動車のカルロス・ゴーン前会長は不可解な取り調べに耐えている。公式に入手できる事実はどうも曖昧だ。この出来事は、日本のデュープロセス(適正な手続き)やコーポレートガバナンス(企業統治)に関心を寄せるどんな人をも悩ませるに違いない。日産を倒産の危機から救ったとして、ゴーン前会長が日本で絶賛を浴びたのはそれほど昔のことではない。だが今や、同容疑者は期限を定めずに拘置所に入れられ、家族との接触も、自分の名誉を擁護することも許されていない。自らの運命を知ることなく社用ジェット機で到着し、即座に逮捕された。日本人弁護士と2回ほど話し、レバノンとフランスの外交官に面会することができただけだ。
ゴーン氏取り調べの不可解さ
逮捕劇と日産会長解任がはらむ危険
有料会員限定
あなたにおすすめ