全国8万社の神社を傘下に置く宗教法人、神社本庁。その職員宿舎の売買を巡る疑惑に端を発した“聖俗”2トップの確執が神社界を二分する中、複数の怪文書が飛び交う泥仕合に発展している。中には、靖国神社前宮司による天皇家批判を想起させるような怪文書が飛び交っている。(週刊ダイヤモンド編集部 神社問題取材班)
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「“なんちゃって”元ビジネスマン」「暴走列車の『パワハラ』」「理解力のない一言居士」「脳で考えることはせず、『脊椎反射』しか行っていない」(原文ママ)……。
今月に入り、全国の神社関係者の間で、そんな神道の基本理念である「浄明正直」とほど遠い文言が散りばめられた複数の怪文書が飛び交っている。
冒頭の文言は全て、神社界唯一の専門紙『神社新報』をもじった『神社“真”報』と題された匿名文書からの抜粋だが、週刊ダイヤモンド編集部が入手しただけで、この他にも数種類の怪文書が確認されている。しかも、その批判の矛先は、なんと、今上天皇の義理の甥で、神社界を“象徴”する「統理」の役職に就く、鷹司尚武氏というから驚くほかない。
なぜなら、統理とは「権力」ではなく「権威」という面において神社界のシンボルとなる別格の存在だからだ。旧皇族や旧華族がその任を務めることが多く、神社本庁が「本宗」と仰ぐ伊勢神宮の大宮司を経て就くのが近年の慣例。もちろん神社関係者ならば、統理への批判など「畏れ多くて想像もつかない」(複数の神社関係者)のが常識のはずである。