日本IBM(社長:マーティン・イェッター、NYSE:IBM)は、IBMが世界主要企業のCEO(Chief Executive Officer:最高経営責任者)を中心に行った「IBM Global CEO Study 2012」の調査結果を発表しました。ソーシャル・メディアの進展により人々が広く深くつながっていく環境が拡大する「コネクテッド・エコノミー」において、企業が優位性を確立するために、CEOが、テクノロジーを活用し、社員や顧客、ビジネス・パートナーとの「つながり」を重視していることが明らかになりました。

FacebookやTwitterをはじめとするソーシャル・メディアは、消費者だけでなく、組織や企業にも浸透し、経済が地域や国境を越えて連結する中、さまざまな関係性に大きな変革をもたらしています。IBMでは、ソーシャル・メディアの爆発的な進展により、これまで以上に人々が広く深くつながっていく環境を「コネクテッド・エコノミー」と名付けました。今回の調査では、CEOが進化するコネクテッド・エコノミーへの対応を急速に進めていることがわかりました。

「テクノロジー」が自社に影響を与える外部要因のトップに

「今後3年から5年の間に自社に影響を与える外部要因」について、CEOの73%が「テクノロジー」と回答し、過去の調査と比較して初めて最重要課題となりました。

企業が、顧客、消費者、生活者、市民がいつ、どこで、どのようなニーズを持っているかを「個」のレベルで正確に理解し応対するのは、テクノロジーが可能にします。また、テクノロジーの進化が、個々の社員や組織の創造性を生み出し、コラボレーション、意思決定、業務運営の新しい方法を提供できるようになります。

高業績企業の3つの取り組み

「IBM Global CEO Study 2012」では、売上成長率と収益性が業界平均より高いと回答した企業を「高業績企業」と定義し、それ以外の企業との比較分析を行っています。その結果、高業績企業のCEOが、コネクテッド・エコノミーにおいて企業の優位性を確立するために、次の3つの取り組みに注力していることが明らかになりました。

1. 価値観の共有を通じて社員に権限を委譲する
組織をオープンにして、社員に権限を委譲し、社外とより積極的につなげる。社員が成功するために必要な特性として、「協調性(75%)」「コミュニケーション能力(67%)」「創造性(61%)」「柔軟性(61%)」の4つを挙げています。そして、優れた社員を惹きつけるために重要となる組織要因として、「共有される価値観(65%)」、「コラボレーションを推奨する職場環境(63%)」、「組織のミッション(58%)」を挙げています。

2. 「個」のレベルで顧客に応対する
今後3年から5年のうちに、ソーシャル・メディアが対面に並ぶ主要な顧客接点になる。個々の顧客を理解する重要性は、10年にもおよぶ議論が交わされてきました。そして現在、ようやく実現手段が追いついてきました。「現時点でソーシャル・メディアが重要な顧客接点である」と回答した割合は16%に過ぎませんが、「3年から5年後には重要な顧客接点になる」と回答した割合は57%にまで高まっています。CEOは、ソーシャル・メディアが「個」客に関する洞察の源泉であり、「個」客とつながる手段であると考えています。

3. パートナーシップによってイノベーションを増幅する
他社との連携を積極的に行う。2008年調査では55%でしたが、今回の調査では69%におよびました。高業績企業では「イノベーションを実現するために他社と広範囲に連携する」と回答した割合が59%にのぼり、低業績企業に比べて他社とのつながりを重視する割合が28%高いことが認められました。

IBMのコンサルティング・サービスについて

今回の調査結果を踏まえ、日本IBMの戦略コンサルティング・サービスでは、日本企業の更なるグローバル化と、テクノロジーを活用したビジネスモデルの構築に関するコンサルティング体制を強化していきます。また、ビックデータを解析し、ビジネス最適化の支援を行うBAO(ビジネス・アナリティクス・アンド・オプティマイゼーション:Business Analytics and Optimization)事業も、さらに推進していきます。

<ご参考>
「IBM Global CEO Study」は、CEOが抱えている戦略的課題や関心事を理解・分析することを目的とし、世界の主要企業のトップ経営者や公共機関のリーダーを対象に、IBMのコンサルタントが直接インタビュー形式で調査を行うものです。トップ経営者を対象とする調査としては世界最大規模のものであり、今回は世界64カ国、1,709名(うち日本からは175名)のCEOを対象に実施しました。2004年の調査開始以来2年ごとに実施し、今回の「IBM Global CEO Study 2012」は5回目となります。