米金融大手モルガン・スタンレーが三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)から出資を受け入れた2008年。当時、モルガン・スタンレーは慌てて安売りし、資本提携した大人しい日本の銀行が足枷になるとの懐疑論がくすぶっていた。「間違いを犯したと思われていた」。モルガン・スタンレーのナンバー2、コルム・ケレハー氏は先頃、当時を振り返り、こう述べている。だが今、モルガン・スタンレーとMUFGは、提携により、互いに単独では実現できなかったことをやり遂げている。日本で有力な投資銀行を誕生させ、財務力を強化したモルガン・スタンレーは米国内で競争力を高めた。提携の成果が如実に表れたのが、3日発表された米製薬大手ブリストル・マイヤーズ・スクイブによるバイオ医薬品大手セルジーンの買収だ。740億ドル(約8兆円)の規模の買収でモルガン・スタンレーとMUFGは共同で335億ドルを融資する。つなぎ融資としては過去最大級の規模だ。